「日銀が金融緩和策の一部を見直して長期金利の変動を認める上限を0.5%程度に拡大しました。市場は事実上の利上げと受け止めまして、円が一時1ドル130円台を付けました」と司会の羽鳥慎一。21日(2022年12月)の「モーニングショー」で、経済評論家の加谷珪一氏がこのタイミングでの修正について解説した。
この方針を総合的にみた評価について、加谷氏はこう話す。
羽鳥慎一「このタイミングなのはなぜなのでしょう?」
「ゼロ金利をずっと継続するのは事実上不可能。そういう意味では、少し追い込まれてしまった面はありますが、来るべき時が来たということではないかと思います。(景気については)当面は円安の影響が大きいので、プラスの面はあるかも知れませんが、金利が上がるということは銀行からお金が借りにくくなるということですから、多少逆風になる可能性がある。両方の面があると思った方がいい」
一方、金利が上がれば円安が収まってくる可能性があるので、物価の上昇は一段落つくかもしれないということだ。
羽鳥「このタイミングなのはなぜなのでしょう?」
加谷氏「円安の影響がすごく大きいので、岸田政権支持率の問題もありますから、そこら辺を気にして、年内にという判断が働いたのかもしれません。あと、来年に日銀総裁が交代しますから、その地ならしだという見方をする専門家もいます」
スタジオでは、日銀の黒田東彦総裁の会見での言葉にも注目が集まった。
浜田敬子(ジャーナリスト)「ある意味、印象的。『これは利上げではない。出口戦略の一歩でもない』。つまり、自分たちの政策の変更ではないということをすごく強調されていましたよね。変更と認めるとアベノミクスが失敗だったと評価に終わることを非常に恐れているように見えました」
加谷氏「そういう面はあると思います。あと、金利政策の見直しだということになると一気に国債が売られてしまったりするので、それを防ぎたいというのもかなり大きいのでは。総裁は『市場機能の健全化』と言っていたので、市場の動向をすごく気にしたのだと思います」
加谷氏は「このところ国債の取引が成立しないという異常事態が頻発していて、そこを正常化したいという思いもかなりあったのではないか。ただ『正常化』と言ってしまうと今までとの整合性が取れないので、ああいう回答になったという感じでは」とも指摘。
かなり追い込まれていたということか。
(ピノコ)