北条政子(小池栄子)とともに奮起して徹底抗戦を選んだ幕府は、大江広元(栗原英雄)や三善康信(小林隆)の忠言を聞き入れて速やかに京へ派兵することを決断。泰時(坂口健太郎)、平盛綱(きづき)らが先発隊として向かい、時房(瀬戸康史)らが続く。木曽から宇治川に入ったのち、泰時勢はついに西軍を制圧。(ネタバレあり)
鎌倉を守った貢献者として...
そして鎌倉で待つ義時(小栗旬)は、後鳥羽上皇(尾上松也)を島流しに。こうして今後に続く武士の世へのトリガー的な戦いが終わり、北条家が事実上の最高権力を掌握した。しかしこのままでは終わらないのが世の常であり大河ドラマである。
ラストの義時と政子のシーンがすごかった。義時が過去をふりかえって鎌倉で流れた血のカウントをしたあと、頼家の死に関する政子の言葉、「だめよ、嘘つきは。自分のついた嘘は覚えておかないと」。この一言で政子の仕舞っておいた心に火がつく。
この期に及んでまだ西側の息の根を止めようとする義時を制して、苦しむ義時の薬を目の前でこぼし、無にした。義時を待つのは死のみ。
政子は地獄へ落ちるであろう弟を救いたい気持ち一心だったのであろう。蛇蝎のように嫌われながらも鎌倉を守った歴史の貢献者でいて欲しいと願ったのではないか。これが政子の深き家族愛、頼朝愛、鎌倉愛の決断だったのだ。義時も最も愛した姉、政子の手で自らの人生、血の粛清にピリオドを打つのをよしとした瞬間ではなかったか。ダークヒーローの最後としては美しい死に様だった。
この場面の後に「完」という一文字で終わった最終回。視聴者に義時像を全部託されたラストシーンであった。ネットでもいろんな投稿で沸いた。「政子にとっての報いの時でもあったのかな」「最終回 改めて壮絶な最期だったな...震えた」「主人公を美化せずどんどんドス黒くなっていくのもいい」「史実や通説を守りつつ、その隙間を縫って捻りを加える脚本が毎回見事だった」「最後の10分が激動過ぎて、その前の50分があまり記憶にない」など。
最終回「報いの時」は壮絶であったが、1年を通じて毎回見どころの多い、見ごたえのあるドラマだった。「もっと見たかった」の声で沸いた最終回だった。
(Y・U)