<1年前のワイドショー>大阪の中心部、JR北新地駅近くのビル4階にある心療内科クリニックで、昨(2021)年12月17日、26人が犠牲となる放火殺人事件が発生しました。被疑者は通院歴のある男で、自殺願望を拡大させた計画的な大量殺人とみられていますが、自らも一酸化中毒や重度の火傷を負って死亡したため、動機など詳細は未解明のまま、捜査が終結しています。
防犯カメラに映った姿
(J-CAST)ワイドショー通信簿の「大阪ビル放火、『酒癖が悪い』と疎遠になった兄が語る谷本容疑者の素顔」(2021年12月20日、日テレ系「スッキリ」)は、被疑者の当日の行動を報じています。
防犯カメラには、事件の30分ほど前、自転車の荷台に可燃物らしい荷物を括りつけて走る姿が映り、午前10時ごろ、クリニック入り口の受付付近で持っていた紙袋を蹴り倒し、流れ出た液体にしゃがみこんでライターで火をつける仕草が写っていました。
クリニックは、エレベータを出ると受付カウンター、奥に診察室と復興支援プログラムを行うリワークルームがあり、多い時で15人前後が参加していて、そこを狙った可能性があります。被疑者は逃げ口をふさいで放火したとみられ、防災アドバイザーの永山政広氏は「避難経路に火をつけられて(逃げる)選択肢がない」と語っています。
被疑者の兄は「酒癖が悪い。言葉が荒くなってわめくのは何回か見たことがある」と語り、被疑者が勤務していた会社の社長は「勤務態度は真面目。注意したことに納得いかなかったら簡単にキレていた」とあります。また、「息子を切りつけていた!?(略)見えてきた容疑者の過去」(同20日、フジテレビ系「めざまし8」)には、被疑者は2010年ごろ、息子を切り付けて家族から縁を切られ、姿を消したとあります。
「大阪ビル火災、防災専門家が(略)語った雑居ビル設備の問題点」(同20日、テレビ朝日系「モーニングショー」)には、犠牲となったクリニック院長に対し、通院患者が「先生のおかげで頑張って元気でいられたし、患者目線にたってくれたいい先生でした」と言って泣き崩れたとあります。
防災システム研究所の山村武彦所長は、「経営者には防火上の落ち度はなかったと言える」と語った上で、「避難経路が一カ所しかないようなビルで、ぜひやってほしい、法律も変えてほしいと思うのは、簡易型のスプリンクラー消火設備(の設置)だ」と指摘した、とあります。
その後、被疑者宅から京都アニメーション放火殺人事件(2019年)などの新聞切り抜きが見つかり、模倣した可能性もあるとの報道もありました。なぜ、このような悲惨な事件が繰り返されてしまうのか。改めて犠牲者のご冥福を祈るばかりです。
(コムギ)