渡辺徹さん過去出演を追悼放送 黒柳徹子がソファから転げるほど笑った話とは

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   「徹子の部屋」(テレビ朝日系)は1976年2月から続く、言わずと知れた長寿番組だ。

   それだけ過去映像の数も豊富にあり、だから、著名人の訃報が出た際、テレ朝で使われるのは、ほぼほぼ「徹子の部屋」出演時のものだったりする。

  • 渡辺徹さん(写真:Pasya/アフロ)
    渡辺徹さん(写真:Pasya/アフロ)
  • 渡辺徹さん(写真:Pasya/アフロ)

「息子と一緒に、大きくなったら...」

   番組も追悼に力を入れており、誰かが亡くなった際、予定していた番組を変更して、いち早く追悼番組を組む。それだけでなく、年に数回は追悼特集をやり、先(11)月29日(2022年)にも、古谷一行(俳優)、市田ひろみ(服飾評論家)、渡部又兵衛(ザ・ニュースペーパー)、森英恵(ファッションデザイナー)、4人の在りし日の姿が流れた。番組冒頭で徹子が「今年も本当に魅力的な方々が亡くなりました」と言っていたのだが、まさか、その前日に俳優・渡辺徹さんが亡くなっていたなど思いもしなかった(メディアが相次いで訃報を伝えたのは12月2日)。

   そんなわけで、5日の「徹子の部屋」は「緊急追悼・渡辺徹」だった。

   まずは、初出演した1984年放送回。徹子に「お元気そうでなによりですね」と言われ、はにかみながら「はい。元気です」と答える渡辺徹さんは、お相撲さんのように肌はつやつや。パンパンに膨らんだ頬に手をあてる当時23歳の爽やかな好青年。

   続いて、1990年放送回。さらにふくよかになった渡辺さんは、その間に榊原郁恵と結婚し長男を授かっていた。赤ちゃんのことを訊かれて嬉しそうに話す渡辺さんの顔は、新米ながらも父親の顔に。徹子から「『息子と一緒に、大きくなったら酒飲みたい』ってよくお父様おっしゃったりするじゃない。そんな風に思う?」と訊かれ、渡辺さんは「俺は、大きくなったら、息子と一緒に丼いっぱい飯食いたいですね。うちで制限されちゃってるから」と答えて、徹子をソファから転げるほど笑わせていた。

   その後、2017年、2020年と続けて、榊原郁恵と一緒に出演した回が流れる。50代になり、さらに大病を患った後だけにいくらか老け込んだようにも見えるが、笑いながら二人でこぼれ話を披露し、まるで夫婦漫才のような掛け合いで徹子を笑わせていた。

   2021年放送回では、1990年出演時に「一緒に丼いっぱい飯食いたい」と話していた、長男の渡辺裕太と出演。息子との共演の感想を徹子から訊かれ、徹さんは「すごい感無量な部分がありますね」と目を細めて答える姿が印象的だった。

   そして、今年9月に、文学座の先輩である中村雅俊と出演した回の映像が流れる。楽しそうに若かりし頃の思い出話を語る二人。最後に、徹子から目標を訊かれ、「俺は、ここんとこ病気がちだったりして、女房に迷惑かけてるんで、とにかく家族への愛情という意味でも健康に気を付けて、日々、一生懸命やっていこうと思います」と答える渡辺徹さんと、それを大きく頷きながら聞く中村雅俊の姿が映った。それこそ、亡くなるほんの2カ月ほど前のことだ。

   61歳だった。もっともっと徹子と私たち視聴者を笑わせて欲しかった。謹んでご冥福をお祈りします。

(くろうさぎ)

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