8日(2022年12月)の『羽鳥パネル』のコーナーのテーマは「ヒートショック」。司会の羽鳥慎一は「寒さが厳しくなっていますが、お風呂に入るときなど、家の中の寒暖差で急に血圧が上下して『ジェットコースター状態』になるヒートショックに注意が必要です。今年は光熱費の高騰もあり暖房を節約する動きがある中、ヒートショックも増える懸念があります」と切り出した。
急激に血圧が変化して
ヒートショックとは寒暖差で急激に血圧が変化して、心臓や血管の疾患が起こることで、高齢になると血圧を正常に保つ機能が低下するため、脳内の血流量が減って意識を失うこともある。羽鳥は「入浴中の死亡者数は1月がピークになり、年間で1万9000人が亡くなっています。これは交通事故による死亡者数の約7.2倍です」と指摘。
ゲスト解説の東京都市大学・早坂信哉教授は「自動車は安全のための決まりがありますが、お風呂には何もない。光熱費を抑えるための節電で暖房を控える人が増える可能性がありますが、そうなるとヒートショックも増えると思います」と言う。
実際に光熱費は上がっている。電力各社は来年4月の料金値上げを申請しており、値上げ幅は東北電力で1.33倍、北陸電力で1.46倍。ガス代も去年10月の平均価格が6452円に対し、今年は7996円。灯油の料金も2年前と比較して、北海道で1.54倍、関東で1.39倍、九州で1.4倍に上がっている。
西村康稔・経済産業相は会見で節電を呼び掛け「重ね着をするなどしながら室温を低めにして、無理なく節電を」としたが、早坂教授は「それでも脱衣所は暖房すべきです」と話す。
羽鳥は続けて「入浴中の心肺停止には地域差がある」として、入浴中の心停止が多い県と少ない県を紹介。多い県は順に、香川、兵庫、滋賀、東京、和歌山。少ない県は順に、沖縄、北海道、山梨、青森、高知。
早川教授は「寒い地域ほど対策をしているので少ないです。ただ、節電で、これまで暖房を使っていた寒冷地で暖房を控える動きが出ると、ヒートショックのリスクは上がってくる。温度差が5度以上あると、ヒートショックはどこでも起こりうる」と説明した。
「5度差」は簡単に...
これには社会起業家の石山アンジュが驚き「5度差は簡単に起こりますよね」とコメント。早坂教授は「はい。すぐにそうなります」。羽鳥が「家で廊下に出ると寒い」と言うと、早坂教授は「そう感じた瞬間にヒートショックになりうる」と話す。
居間から風呂場に行くと急に寒くなり血圧は急上昇、服を脱いでさらに上昇、風呂に浸かって温まると血圧は下がり、脱衣所で着替えるときにまた急上昇する。この急な血圧の上下で心筋梗塞や脳卒中、気絶などが起こりやすい。早坂教授によると、入浴で血圧は40~50上下するとして「上がったときだけじゃなく、下がったときにも脳に血流が行かなくなり、意識をなくすことがあり危険」という。
実際に血圧の低下で気絶して、溺死する事故は多い。その93.4%が高齢者だが、45~65歳でも5.1%、15~44歳でも1.1%と起こりうる事故だと早坂教授は注意を促した。
森山みなみアナは「怖いですね。私もたまに浴室に直行することがある。ひとり暮らしなのでこうなったら助けてくれる人がいない」とコメント。石山も「私も銭湯で立ち眩みしたことがあった」と告白。早坂教授は「わずか1~2分で大きく血圧が変動する場合は注意が必要。若くても低血圧の人、生活習慣病や肥満の方は動脈硬化が進みやすいので、さらに注意が必要です」と話す。
対策としては、ヒーターなどを利用して脱衣所と浴室の温度を20度以上にする、腹式呼吸で深呼吸をすると暖かい空気が取り込まれて予防になるという。
早坂教授によると「家の中はヒートショック多発地帯。風呂場以外にも気を付けたいのは暖かい布団から出たとき、ゴミ出しで外に出るとき、寒いトイレでいきんだときにも注意が必要」という。さらに家の外では、暖かい電車から外に出るとき、温泉旅館などで露天風呂に行くとき、サウナで水風呂に入るときにも注意してほしいという。
羽鳥は「お酒を飲んで電車で寝ないのは難しい。慌てて起きて出るのは危険なんですね」と、身につまされた様子だった。
(バルバス)