実朝の「別れの歌」が意味するコト
事件直後、実朝の遺した和歌が発見されました。
出でていなば 主なき宿となりぬとも
軒端の梅よ 春を忘るな
この歌は、『吾妻鏡』に記録されているもので、実朝が自らの死を予見して歌った、禁忌の歌と言われています。
主人が帰ってくることがなくても、毎年春になったら梅の花を咲かせてくれよ。という非常にシンプルな歌ですが、シンプルゆえに心を打ちますね。
この歌以外にも、『吾妻鏡』には、実朝が自身の髪を「記念(形見)」として遺した話などを載せており、もしこの記述が本当なら、ドラマ同様、実朝は自らの天命を受け入れようとしていたのでしょう。
実朝が亡くなったことで、将軍不在の鎌倉と朝廷の関係は大きく揺らぎます。
日本史の転換点と言われる『承久の乱』はすぐ目の前まで迫っています。
さて、今回の記事はここまで。ドラマに関するさらに詳しい解説は、是非YouTubeチャンネル・戦国BANASHIをご覧ください。それではまた来週もお会いしましょう。さらばじゃ!
(追記:参考文献など)今回の参考文献は、『史伝 北条義時 武家政権を確立した権力者の実像』(山本みなみ著、小学館)や『源氏将軍断絶 なぜ頼朝の血は三代で途絶えたか』(坂井孝一著、PHP新書)など。エビデンスには細心の注意を払っておりますが、筆者は一歴史好きYouTuberであり、歴史学者・研究者ではございません。もし、間違い指摘やご意見などございましたら、この記事や動画のコメント欄で教えて頂ければ幸いです。
<第45回解説動画は、(J-CAST)テレビウォッチのオリジナル記事下動画や、YouTubeチャンネル「戦国BANASHI」からお楽しみください>
++ 「ミスター武士道」プロフィール
1990年、三重県四日市市生まれ。年間100冊以上の歴史に関する学術書や論文を読み、独学で歴史解説や情報発信をするYouTuber。
一般向け歴史書籍の監修、市や県などの依頼を受けて、地域の歴史をPRする動画制作なども手掛ける。2019年に歴史解説チャンネル「戦国BANASI」を開設。2022年夏には登録者数が12万人を突破した。