「東京五輪テスト大会」をめぐる談合事件についての家宅捜索が電通に続き28日、博報堂などにも広がった。発注側である大会組織委員会側も談合に加わっていた疑いもあり、さらに拡大、悪質化の可能性が出てきた。29日(2022年11月)の「スッキリ」が伝えた。
「東京五輪テスト大会」とは、五輪を円滑に行うために観客の誘導や警備体制などを確認するための大会で、2018年から行われていた。東京五輪組織委員会は、五輪の計画立案業務を会場ごとに行うために26件の入札を実施。電通、博報堂のほか、東急エージェンシー、セレスポ、セイムトゥー、フジクリエイティブ・コーポレーションなど9社が落札した。一般的な入札であれば、複数の企業が手を挙げ、この中から発注側はより優れた条件を出した企業を選定する。ところが、今回は、半数以上が1社のみの入札だった。落札総額は5億3000万円余り。
ADK側が「談合」を公取委に自己申告か
元東京地検特捜部の若狭勝弁護士は、「オリンピック、パラリンピックという舞台で、自分たちのもうけを多くしようと、談合がなされた可能性があるので、悪質性が高い」。「競争が全く成り立たなくて、業者側の言い値で落札される可能性がある。都民や国民の税金が入っているので、国民が損をすることになりかねない」
五輪東京大会をめぐる汚職事件で4度起訴されている高橋治之・組織委員会元理事(元電通専務)に賄賂を渡したとして逮捕・起訴されたのが、広告会社「ADK」の前社長らだった。捜査を進める中で、ADK側が、テスト大会をめぐり「談合」があったと公正取引委員会に違反を自己申告した、という。「もはや発覚するのは時間の問題ではないか、ばれてしまう可能性が高いということで、自ら名乗り出たと考えられる」(若狭弁護士)
東京五輪・パラリンピックの経費は当初7340億円だったが、その後膨らんで今年6月に組織委員会が発表した最終的な経費は1兆4238億円に上った。なぜ談合が起きたのか?
若狭弁護士は「組織委員会も暫定的に作られるので、ノウハウがあるわけではないので、電通のノウハウに頼らざるを得ない」。電通から組織委員会に出向していた社員が入札に関与した疑いがある。大会組織委が電通に「入札に参加しそうな企業一覧」を作るよう依頼。受注はほぼ一覧表通りになった。事件はさらに悪質性を増す可能性もある。「今回は発注者側である組織委員会の人間が談合に加わった可能性も指摘されている」(若狭氏)。
今後の捜査のポイントは、「組織委のどの程度の役職の人が談合に関与していたか。誰が関与していたのか」(若狭弁護士)となりそうだ。テスト大会ばかりでなく、本番の大会にも事件が拡大する可能性も指摘されている。
MCの加藤浩次「ここまでくると、IOC、JOC、五輪の招致を含めて全部に広がってくるんじゃないですか」
(栄)