<1年前のワイドショー> 昨(2021)年の今ごろ、中国のプロテニス選手・彭帥(ポン・シュアイ)さんが、前中国副首相の張高麗氏に性的関係を強要されたとSNSに投稿した後、2週間も消息不明となりました。北京冬季五輪の開幕を控え、欧米各国で「五輪ボイコット」論が巻き起こる国際問題に発展しました。
投稿があったのは11月2日。(J-CAST)ワイドショー通信簿の「消息不明の中国テニス選手にこれから起きる事(略)」(2021年11月18日、日テレ系「スッキリ」)には、大坂なおみ選手が17日に「今の状況にショックを受けており、彼女に愛を送り、行方に光をともす」と投稿。14日にはWTA(女子テニス協会)のスティーブ・サイモンCEOが「彼女の訴えは調査される必要がある」との声明を発表したとあります。
北京冬季五輪への「外交的ボイコット」に発展
しかし、18日になって中国が矢継ぎ早に鎮静化に動きだします。
「(略)『THE TIME,』が伝えた『事態の急展開』とは」(同19日、TBS系)によると、18日に中国国営テレビCGTNが、彭帥選手がWTAサイモン会長に送ったとする「性的暴行は事実ではない」「家で休んでいる」という「自筆」メールを公開。「中国『不明』女子テニス選手ナゾの映像(略)」(22日、THE TIME,)は、政府系メディアの編集長が、北京のテニス大会開幕式に彭帥選手が出席した映像を配信、別の動画には選手がコーチらと和やかに食事を楽しむ姿も映っていたことを報じています。ただ、「明日は11月20日でしょ」「21日ですよ」と日付を強調するシーンもあったようです。
さらに「バッハ会長へ『中国の代弁者に』批判(略)橋下徹『勘違いしている』」(同22日、フジテレビ系「めざまし8」)は、帥選手とバッハ会長が約30分間ビデオ通話をしたと、IOCが21日に発表したとあります。バッハ会長が22年1月に訪中する際、彭帥選手と夕食の約束をしたとあり、橋下徹・元大阪府知事は「バッハ会長は勘違いしている。これでは中国の代弁者になっている」と呆れるコメントをしていました。
「中国は北京五輪やる『資格があるのか』(略)」(同26日、テレビ朝日系「モーニングショー」)は、香港や新疆ウイグル自治区の人権弾圧ともからんで、カナダの元外交官が「選手が人質的に拘束される可能性がある」とする論調を紹介、司会の羽鳥慎一さんが「外交的ボイコットでなく、全面ボイコットの声が出ています」と伝えていました。
その後の翌12月、欧米各国は閣僚や政府高官らを派遣しない「外交的ボイコット」に踏み切り、日本も同調したことは記憶に新しいところです。
言論を封殺する中国の人権弾圧はいつまで続くのか。1年前の話題を振り返り、彭帥選手のみならず、香港で拘束された活動家や、新疆ウイグル自治区の人権弾圧のその後が、気になって仕方がありません。
(コムギ)