鎌倉殿の13人 「出世野心メラメラ」キャラの源仲章 記録上はどんな人物だった?
<歴史好きYouTuberの視点>

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仲章が目指した「関白」とは

   仲章は作中で、新将軍として皇子が鎌倉へ下向した際には、自らが「関白」を務めると豪語していました。

   「関白」とは、天皇の相談役として唯一無二のポジションであり、貴族の頂点と言っても過言ではない役職でした。

   関白になるのは簡単なことではなく、鎌倉時代には摂関家と呼ばれる藤原一族にしかほぼ就任できず、かつ摂関家の中でも過酷なポジション争いが繰り広げられていました。

   代々、摂政・関白を務める摂関家という超エリート一族に生まれた上に、その一族の中で骨肉の争いに勝利し、かつ天皇の外戚になるというかなり無理筋な条件をクリアした者のみが就任できるウルトラスーパーレアな役職だったのです。

   (※摂関家以外の人間でも、平清盛や土御門通親のように、圧倒的な政治手腕でのし上がり、関白を傀儡にすることで、同等の力を得た者もいます)

   摂関家の生まれでもなければ、突出した才能も持っていない仲章には関白就任などは夢のまた夢だったのです。

   しかし、鎌倉でなら仲章の夢は叶う可能性がありました。現代で言えば超大手企業での出世を諦めた中堅サラリーマンが、ベンチャー企業に転職して再起を図るようなものです。

   歴史上の仲章が、ドラマで描かれたほど野心に燃えていたかは記録上からはわかりません。しかし、わざわざ京から鎌倉へ下向した貴族が、新天地での出世を夢見ていたというのは不思議な事ではないと思います。

   予想以上に濃いキャラクターへと成長した源仲章が、どのような結末を迎えるのか、来週も目が離せません。

    さて、今回の記事はここまで。ドラマに関するさらに詳しい解説は、是非YouTubeチャンネル・戦国BANASHIをご覧ください。それではまた来週もお会いしましょう。さらばじゃ!

   (追記:参考文献など)今回の参考文献は、『承久の乱と後鳥羽院』(関幸彦著、吉川弘文館)や『摂関家の中世 歴史文化ライブラリー』(樋口健太郎著、吉川弘文館)など。エビデンスには細心の注意を払っておりますが、筆者は一歴史好きYouTuberであり、歴史学者・研究者ではございません。もし、間違い指摘やご意見などございましたら、この記事や動画のコメント欄で教えて頂ければ幸いです。

   <第44回解説動画は、(J-CAST)テレビウォッチのオリジナル記事下動画や、YouTubeチャンネル「戦国BANASHI」からお楽しみください>


++ 「ミスター武士道」プロフィール
1990年、三重県四日市市生まれ。年間100冊以上の歴史に関する学術書や論文を読み、独学で歴史解説や情報発信をするYouTuber。
一般向け歴史書籍の監修、市や県などの依頼を受けて、地域の歴史をPRする動画制作なども手掛ける。2019年に歴史解説チャンネル「戦国BANASI」を開設。2022年夏には登録者数が12万人を突破した。

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