福島市で97歳の男が運転する軽自動車が歩道を暴走、6人が死傷する事故が19日(2022年11月)に起きた。相次ぐ高齢者事故だがどうすれば防ぐことができるのか。今日22日の「モーニングショー」では、事故の詳細を報じるとともに専門家に話を聞いた。
限定免許とは
事故が起きたのは夕暮れ時のショッピングセンター出口付近の市道。男が運転する軽自動車は歩道を数十メートル暴走、子どもと歩いていた42歳女性をはねた後、車道の車に次々と追突、その後車と街路樹の間に挟まるようにしてようやく停止した。「一瞬の出来事で本当に何が起きたんだろう」と証言するのは追突された車に乗っていた女性。現場には『お母さーん』と叫ぶ子どもの声が響くなど騒然とした雰囲気だったが、事故を起こした運転手は放心状態。歩道と車道の段差に座り込んで呆然と救護活動を見ていたという。男は過失運転致死の疑いで逮捕された。
事故を起こした男性は、短歌の選者を務めるなど有名な歌人として知られ、福島県文化功労賞なども受賞していた。全国レベルで短歌をやっていたら名前を聞いただけでわかるほどの有名人で、事故4日前には新たな歌集も発売したばかりだった。免許更新時の認知機能検査には問題がなく、毎日のように車で外出していたが、一方で最近は車庫入れの際に何度も切り返すなど不安もみられ、4カ月ほど前に軽自動車に乗り換えていた。男性の家族は運転を控えさせるためタクシー会社に相談をしていたという。
「本人には(運転をやめるよう)説得しているようにみえたが、容易ではないという雰囲気だった。結論はでず、アドバイスをして電話を切った、これから問題を解決しようとしていた」(タクシー会社社員)
伊藤安海さん(山梨大学大学院教授)「夜間の事故だった。日本の場合、昼間限定など限定免許の制度がないのが悔やまれる。能力に応じて限定が増えてくると、どこかのタイミングで自ら免許を返納する人も多い。いきなり免許のあるなしではなく、能力が落ちてきたので夜は運転やめましょうということが制度化されると、夜の見えづらい時間に高齢者の方が事故を起こすことが防げると思う」
菊間千乃「高齢者の足をどうするかも考えるべき問題」
今年5月、一定の違反歴のある75歳以上のドライバーに対し運転技能検査が導入され、不合格だと免許更新ができなくなっている。今年9月末時点で全国の受検者は3万2200人で、合格率は88.9%。不合格でも更新期間中であれば何度でも受検可能だ。
伊藤教授「能力が落ちれば落ちるほど自覚するのが難しくなる。能力があるうちに判断することが必要で、60歳から定期的に運転技能検査を実施し、能力の低下を自覚してもらうとともに3回落ちたら免許を再取得しないと運転できないようにする必要がある。一方、車がないと生活できない高齢者は全国にいるので早急な対策が必要」
菊間千乃「頭がしっかりしていること、日常生活が送れることと判断能力や瞬発力の衰えは別だと思う。車は一瞬の判断ミスで人を殺してしまう機械。一方、日本全体として高齢者の足をどうするかも考えるべき問題」
小川仁志(哲学者・山口大学教授)「山口市で高齢者をサポートするため、セキュリティ会社とタクシー会社が参加してタブレットで家事代行や運転代行を呼び出せる実証実験をやった。テクノロジーで解決していくこともありだと思う」
司会の羽鳥慎一「免許のシステム、社会のシステム、両方必要なのかなと思います」
(みっちゃん)