先週金曜(2022年11月18日)、旧統一教会被害者救済法案の概要が明らかとなったが、その内容についてはさまざまな批判の声が上がっている。政府案で被害者救済はできるのか、今日21日の「モーニングショー」は統一教会問題に取り組むジャーナリストの鈴木エイトさんと弁護士の阿部克臣さんをスタジオに招いて詳しく話を聞いた。
高額献金の実態について番組が紹介したのは母親が元信者の66歳女性のケース。2015年8月、母親は信者であることを告白するとともに「全部お金取られた。もう嫌だ」と女性に訴えた。女性が調べてみると母親は果樹園を売るなどして5年間に1億8000万円を献金していた。その後母親は教団を脱会、女性は2016年に教団に献金の返還を求めた。しかしそこで教団が提示したのは母親のサインが入った念書。そこには「損害賠償請求しません、裁判しません」といった内容が。さらに教団は念書を交わす様子も動画撮影し、母親が「返金は絶対やってもらったら困る」などと話す様子も映されていた。女性は損害賠償を求めて提訴するが、念書が理由で一審、二審と敗訴。2016年5月、母親にはアルツハイマー型認知症の確定診断が出ているが、女性は教団が念書を書かせたのではないかという。
法案の概要は?
阿部弁護士「悪質なのは退会の意思を示してから念書と動画をとっていること。裁判所は書面を非常に重視するので書面押印があるとひっくり返すのが難しい。念書を交わさせた経緯があるはず。最高裁できちんと経緯を見ていただきたい」
山口真由(法学者)「悪質性が高いと思った。判断能力は若干低下されていたと思う」
鈴木エイト「こういうケースは多々ある。ぜひ相談してほしい。教団には高齢資産家を狙っているグループがあるとされている。資産家をピンポイントで狙って行った可能性がある」
石原良純(タレント)「どういう人間をどう勧誘すればお金を引っ張れるか研究している。周到さを感じる」
救済新法でこうした被害を防ぐことができるのか。新法の対象は個人から法人に対する寄付で、勧誘時の禁止行為や借金や居住する建物を処分することによる寄付金要求禁止などを定めている。
阿部弁護士「政府案は統一教会のやり方を把握されていない。統一教会は法人ではなく個人に献金される。消費者契約法を引っ張ってきているが禁止行為が狭すぎる。統一教会にはほとんど適用されない」
マインドコントロール下での献金も問題視されているが、政府案では「認定は困難」とマインドコントロールの定義を行っていない。献金額についても、野党は年収4分の1の上限を求めているが、公明党からは「収入や資産の何割という話は資産を相手に教える」など慎重姿勢。立憲民主党からは「宝石や田んぼを処分して寄付しても規制対象にはならない」といった指摘が出ている。
鈴木エイト「統一教会は資産状況をすでに把握している」
阿部弁護士「(救済法案は)要求を禁止するにすぎない。統一教会では信者が自主的に献金したという形をとるので、自主的に献金したと逃げることができる」
鈴木エイト「最初は教団がお金を借りるという形をとることがある。マインドコントロールが進むにしたがって、借りたお金を献金に変えていく。そういうものをカバーできない」
(みっちゃん)