岡田将生と中井貴一がW主演する「ザ・トラベルナース」(テレビ朝日系)。第3話(11月3日、2022年)まで見たが、いまのところ中井貴一劇場になっていて、岡田将生の陰は薄い。
脚本は「ドクターX~外科医・大門未知子」の中園ミホ。だからか、遠藤憲一の大仰なナレーションをはじめ、誰がどう見ても「ドクターX」のナース版なのは明らか。医師よりもナースのほうが患者との関わりも密で、「ドクターX」とはまた違う角度から描いた医療ドラマで、これはこれで面白い。
ナース版「ドクターX」として見ると...
岡田将生演じる那須田歩は、フリーランスの看護師。医師の指示で医療行為を行うことができるNP(=Nurse Practitioner)として、アメリカでスーパードクターの補助をしていた、という体(てい)。初回冒頭ではアメリカの病院で颯爽と働く歩の姿が描かれていたが、かっこよかったのはその数分だけ。深刻な看護師不足の「天乃総合メディカルセンター」に招かれ、日本に戻って働くことになるが、医療知識があり、プライドが高く態度もデカい看護師は周囲とも馴染めず......。
同じ日にやってきたのが中井貴一演じる九鬼静。優しい口調は聞き覚えがあると思ったら、「家政夫のミタゾノ」の松岡昌宏の感じ。物腰柔らかで女子力高め。看護師たちともすぐに馴染んだ。「病気を診るのが医者、人を見るのがナース」の九鬼が、感情のままに赴く歩を「バカナース」と叱る。何か事件が起こり、歩が暴走。そんな歩をたしなめ、静が円満解決にもっていくというパターンだ。
そんな静に影響され、歩が成長するという物語だろうか。ほかに看護部長の寺島しのぶ以下、安達祐実、野呂佳代、恒松祐里、宮本茉由といった個性豊かなナースと寮母の池谷のぶえのワチャワチャした食事シーンも楽しい。「ドクターX」で言うなら岸部一徳たちとの麻雀シーンのようなものか。
難をいえば、「ドクターX」の西田敏行のような悪役がいないのが若干物足りなさを感じる。今回、院長は松平健が演じているのだがラスボスという感じでもなく......。
果たして、ナース版「ドクターX」は本家同様、視聴者の心をグッと掴むことができるか、見ものだ。
(くろうさぎ)