過去の群衆事故とその教訓 「渋谷の警備」の変化とは (モーニングショー)

   韓国ソウル梨泰院(イテウォン)のハロウィーン前、10月29日(2022年)に起きた群衆事故では多くの人が亡くなったが、過去を振り返ると世界各地で同様の事故が発生し、多数の犠牲者が出ている。事故を防ぐにはどうすればいいのか、今日31日の「モーニングショー」では専門家とともに議論した。

   2010年の竹下通り群衆事故では「有名人が来ている」という声がきっかけだった。興奮した女性が殺到し、一部で折り重なるように倒れたが、実際には芸能人はいなかったという。この事故では13歳から14歳の少女4人が頭や腹を踏まれたが、いずれも軽傷だった。

  • 渋谷のハロウィーン警備に生かされている教訓とは(写真はイメージ)
    渋谷のハロウィーン警備に生かされている教訓とは(写真はイメージ)
  • 渋谷のハロウィーン警備に生かされている教訓とは(写真はイメージ)

石原良純「ルールを守るのは自分を守ると同時に...」

   山村武彦(防災システム研究所所長)「群衆の心理として、軽薄性、匿名性、興奮性が内包されている。『有名人が来る』という未確認情報が流れると冷静さが低下する。軽薄的に行動を起こして興奮状態になる。群衆というのはリスクがあるという認識が必要」

   インドネシアでは今月1日、サッカー試合後に観客がピッチに乱入し、135人が死亡しているほか、2015年にはサウジアラビアのメッカ巡礼で、2181人が死亡する事故が起きている。

   西成活裕(東京大学教授)「サウジアラビアの事故では政府から呼ばれて相談を受けて、現地でアドバイスをした。みなさん宗教的行事なので自分の中の内的世界で閉じている。警備も厳重で警察も来ているし、モニタールームで各通路を見ているが、それでも事故が起きる。分けようとしているが分けきれない。絶対にどこかが交差してしまう。ここのコントロールはすごく難しい」

   2001年の兵庫県明石市の花火大会では、死者11人負傷者247人という事故が起きている。駅に向かう歩道橋で群衆雪崩が発生したが、1平方メートルあたり13人から15人という密集状態になったとみられている。現地にいた人は「後ろを振り返ることも横を向くこともできなかった。2時間半の間、上を向いてあえぎながら呼吸するしかなかった」と語る。

   山村武彦さん「インタビューした人には、立ったまま肋骨が折れた人がいた。この事故では暴走族の警備に人が取られて、花火大会には30人程度の警察官しか配備できなかった」

   渋谷ハロウィーンなどでは、こうした事故を教訓として、DJポリスや民間警備が拡声器で呼びかるなど警備が行われている。韓国の事故を受けて、スクランブル交差点の斜め横断は渋谷駅からセンター街方面のみに規制され、路地裏の狭い道に人が滞留しないような誘導も行なった。

   石原良純(タレント)「明石事故が教訓になって、渋谷の流量制限が緻密に考えられている」

   司会の羽鳥慎一「亀岡市花火大会では『止まれ、なにやってんだ』と厳しい言葉で事故を防いだが、『厳しい言葉でよかった』『そんな言い方はないんじゃないか』と議論になった」

   西成教授「群衆には何段階かある。始めは情報を伝えるだけで解決できるが、危険になると強制が必要になる。そこでやさしくやっていたら事故になる。リスクのレベルに合わせた対応が必要」

   石原良純「ルールを守るのは自分を守ると同時に他人を守ること。管理されるのは嫌だという人もいるがそういうことではない」

   山口真由(弁護士)「秩序が壊れた時には命に関わることを自覚し、警備に従うことが命を守ると自分事として考えたい」

(みっちゃん)

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