岸田首相は17日(2022年10月)、永岡文科相に対し宗教法人法の「質問権」を使って旧統一教会を調査するよう指示した。被害者の救済活動を続けてきた紀藤正樹・弁護士(消費者庁「霊感商法等対策検討会」委員)は、「最初の一歩だ。20年がかりでようやくここまでたどり着けた」。「質問権」とは何か?18日の「スッキリ」が問題の本質に迫った。
質問権とは?
岸田首相はこれまで、「解散命令の請求」について「慎重に判断する」としてきたが、17日の衆院予算委員会で一転、「被害者の方々に寄り添い、しっかり支援していく。被害の拡大を防止すること、並行して進めていきたい」。調査の結果次第では、「解散命令」につながる可能性もある。初めての「質問権」について、教団は「文化庁から明確に指示があるかと思いますので、真摯に受け止め誠実に対応させていただきたい」。
オンライン上では、「統一教会の宗教法人解散(法人格解消)を求めます」とする署名が始まった。呼びかけ人の一人、元2世信者だった小川さゆりさん(仮名・20代)は今月7日の記者会見で、「どうかこの団体を解散させてください」と訴えていた。「両親は多額の献金を繰り返し、生活はとても苦しく、私は幼少期からいじめを受けてきました」。昨日だけで3万8341人が賛同した。小川さんは昨日、「国が宗教法人格を統一教会に与えて、この宗教はまっとうな他と同じ宗教団体です、というお墨付きを与えてしまっている、のが一番問題。それ(解散)をすることによって、たくさんの人が救われると思っている」。
「霊感商法等対策検討会」委員の菅野志桜里弁護士は、「質問権とは解散命令を求める前に、疑いに対して反論したり、違うという資料を報告して下さい、と確認する手続き」。1995年にオウム真理教が地下鉄サリン事件を起こした際、文化庁などに調査する権限がなかったことから、法改正で加わった規定だ。しかし一度も使われていない。権限がある宗務課の職員は8人しかおらず、18万以上の宗教法人を管轄している。
元文科省事務次官の前川喜平さんは、宗務課長を務めた経験があるが、「人手が圧倒的に足りない。警察、検察、法務省の協力を得る必要が必ず出てくる」。菅野弁護士は「(解散は)団体が消滅するのでなく法人格が消滅する。信仰すること自体は自由なわけです。税制の優遇を受けることはできなくなる。特権がなくなる」。紀藤弁護士は、「人数とか予算の問題ばかりではなく、(政府の)やる気のなさが大きいと思う」。
(栄)