五島から東大阪への帰り、生まれて初めて乗った飛行機にすっかり魅了された岩倉舞(浅田芭路)。久しぶりに家族そろって囲んだ食卓で、飛行機のことを夢中になって話す舞に、父・浩太(高橋克典)は「自分も飛行機が好きだ」と伝え、古い箱の中からグライダーの写真や飛行機の本などを出して舞に見せた。
次の日。舞は久々に東大阪の小学校に登校するが、一緒に飼育係をしている望月久留美(大野さき)から、悲しい知らせを受ける。ウサギのスミちゃんが死んでしまったというのだ。
父・浩太も頭を抱え...
しかも久留美は、そのことが原因でクラスの女子から仲間はずれにされていた。翌日、学校を休んだ久留美の家を、舞は訪れる。そして久留美が仕事を失った父親・佳晴(松尾諭)と2人暮らしであることを知る。
ある日、舞はばらもん凧を改造して飛ばしてみるがうまく行かない。浩太に作り方を聞こうとするものの、浩太は仕事に追われていて時間が作れそうにない。
母・めぐみ(永作博美)から浩太の昔の夢を聞かされた舞は、幼なじみの梅津貴司(齋藤絢永)と古書店「デラシネ」に出かけ、模型飛行機の作り方の本を購入。一方の貴司はある詩集に夢中になっていた。店主の八木巌(又吉直樹)が書いたものだという。
舞は買った本を見せようと浩太のもとに行くが、浩太は事務所で何か考え込んでいるようだ。実は「岩倉螺子製作所」は受注が減り、経営難に陥っていたのだ。このままでは長男・悠人(海老塚幸穏)を私立に入れることができなくなる...。浩太は頭を抱えていた。
浩太を元気づけようと、自力で模型飛行機を作ることを決意した舞。同じように父親を心配する久留美と貴司を誘い、模型飛行機づくりに没頭する。同じころ、浩太は特殊ネジの製作という難しい仕事を引き受け、試作を繰り返していた。
模型飛行機がついに完成した。舞たちは、小学校の校庭に浩太やめぐみ、工場の従業員、佳晴を誘った。
父親たちが見守る中、模型飛行機は空高く舞い上がった。
そして数日後、浩太の工場の試作品が採用され、正式な受注が決まった。
時は過ぎ、2004(平成16)年4月。「岩倉螺子製作所」は2つの工場を持つ会社に成長していた。18歳になった舞(福原遥)は浪速大学の航空工学科へ進学。名門中学・高校から東京大学に入った悠人(横山裕)は就職活動中だ。
サークル探しのために大学構内を歩いていた舞は、ある部屋の前で立ち止まる。そこには人力飛行機の主翼部分が並んでいた。