みなさんは、古い映画になりますが、「勝手にしやがれ」をご存じですか?
これは、1960年のフランスの白黒映画で、主演はジャン=ポール・ベルモンド(フランスの俳優、故人)とジーン・セバーグ(アメリカの女優、故人)です。監督はヌーベルバーグの旗手と呼ばれたジャン=リュック・ゴダールで、彼はこの9月に、91歳で亡くなりました。WOWOWは彼を追悼して、長編デビュー作「勝手にしやがれ」を放送しました。(この原稿はネタバレを含みます)
映画の舞台はパリです。ハンフリー・ボガードを崇めるミシェル(ジャン=ポール・ベルモンド)は、マルセイユで自動車を盗み、野放図で、追ってきた警察官を衝動的に殺してしまいます。パリに戻ってきたミシェルは、文無しで警察に追われ、アメリカ人のガールフレンド、パトリシア(ジーン・セバーグ)と行動を共にします。
パトリシアは、自由奔放な駆け出しのライターで、フランスにいることに執着がありません。
この映画の舞台になっている、パリの風景が綺麗です。フランスの有名な自動車のシトロエンも、パリにマッチしています。
ゴダール監督の自由奔放な手法に改めて驚く
ゴダール監督は、ハンディーカメラを多用し、パリでのロケを進めて行きます。これが、何とも言えず「カッコイイ」のです。
ミシェル(ジャン=ポール・ベルモンド)は、劇中で何度か「最低」という言葉を口にします。ミシェルが警察に追われる身であることを知ったパトリシア(ジーン・セバーグ)は、ミシェルと刹那的な逃避行を続けます。
しかし、遂にミシェル(ジャン=ポール・ベルモンド)が、警官に撃たれ、路上で死んでしまいます。
最後に、ミシェルは、パトリシアに「君は本当に最低だ」と笑ってかすれ声で言います。パトリシアが「彼はなんて言ったの?」と刑事にたずねると、「あなたは本当に最低だ、と彼は言っていました」と伝えます。パトリシアは「最低って何?」と聞き返すのです。
パリを舞台にした、自由な感覚のこの映画は、現代にも十分通用すると思いました。