先週に引き続き、TVer配信の「神回だけ見せます!」を紹介します。これは、「見逃し配信」ではなく、日本テレビの映像ライブラリー「アーカイブセンター」に眠る「神回」を紹介するもので、日本テレビのコンテンツ制作局専門局長高橋利之君のチョイスによるものです。
今回の「神回」も、「ブラウンさん」(2001年~2002年放送、演出三枝孝臣・CP吉川圭三)で、司会は中山秀征と小野寺麻衣アナ。テレビ放送の歴史を築いたレジェンドをゲストに迎え、伝説のエピソードを聞くというものです。
ゲストは萩本欽一で、フジテレビの「欽ちゃんのドンとやってみよう!」(プロデューサー常田久仁子さん・故人、1975~1980年放送)とテレビ朝日の「欽ちゃんのどこまでやるの!」(プロデューサー皇達也さん・故人、1976年~1986年)が、萩本の当時の代表的テレビ作品です。
「テレビとは、金のかかったおもちゃ箱」
今回の「神回だけ見せます!」は、2001年7月5日に放送された萩本の独演会ともいえる究極のテレビ論でした。それは、「テレビのやり方ではなく、場を温かくする」手法を大事にするというものです。
例えば、前説(公開放送で、本番の前に場を盛り上げるためにやるもの)を、大事にするということです。公開放送では、タレントが出る前にお客さんを入れて待たせるのはおかしいと指摘。
次に、フロアーディレクターの「5・4・3・2・1...Q」というやり方を止めるということ。これは、Qは脅しになるから。
次に、「バミ」(スタジオのフロアーに、ビニールテープで出演者や物の場所を示すもの)を止めました。この番組を演出していた三枝は、超一流の演出家・プロデューサーでもある萩本のテレビ論に「テレビに対する考え方が変わった」と言ったのです。
司会の中山秀征は、場を盛り上げるのが上手く、萩本もそれを評価していました。
最後に、中山が「萩本さんにとってテレビとは、一言で言うと何ですか?」と聞くと、「テレビとは、金のかかったおもちゃ箱のようなもの」と答えたのが印象的でした。