日本人研究者の中国などへの「流出」 ノーベル賞ウィーク機に注目 (モーニングショー)

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   今日3日(2022年10月)から、連日ノーベル賞の受賞者が発表されるノーベル賞ウィークが始まり、今日は日本時間午後6時半過ぎから生理学医学賞の受賞者が発表される。「モーニングショー」ではスタジオにサイエンス作家の竹内薫さんを招いて、有力候補者たちの素顔に迫った。

   最初に取り上げたのは、新型コロナmRNAワクチン開発に貢献したビオンテッック社副社長のカタリン・カリコ氏。mRNA内のウリジンをシュードウリジンに置き換えることで、激しい炎症を抑えるとともに、作られるタンパク質を増やすことができるようになり、mRNAワクチンの実用化につながった。

  • ワクチン開発と関係する授賞に?(写真はイメージ)
    ワクチン開発と関係する授賞に?(写真はイメージ)
  • ワクチン開発と関係する授賞に?(写真はイメージ)

受賞の有力候補は?

   もっとも、カリコ氏の研究人生は平坦なものではなかった。出身国であるハンガリーの研究機関での研究費は30歳で打ち切られてしまい、アメリカへと移住するが、当時は現金の持ち出しは100ドルまで。カリコ氏は2歳の娘のテディベアの背中を開いて現金をしのばせ、ハンガリーを出国した。この時の娘さんは、北京五輪、ロンドン五輪のボート競技の金メダリスト、スーザン・フランシアさん。フランシアさんは「ボート競技はほとんどの競技者が後ろを向いていてゴールは見えない。(研究者の)母も同じで、終わりがわからないからこそ一漕ぎずつゴールに向かっているという信じる心が必要だった」と心境を語っている。

   カリコ氏は、現在の共同研究者ワイスマン教授とコピー機の前で出会って研究を進めていたが、発表当初はほとんど反響がなかったという。しかし、mRNAを用いたiPS細胞作成で行き詰っていた山中伸弥教諭がカリコ氏の論文に行き着き、注目を集めることとなった。

   カリコ氏は「山中教授がいなければ、私たちの論文が『発見』されることはなかったかもしれない」と語っている。mRNAの技術は今後、ガンや心不全、インフルエンザワクチン、脳梗塞など広い範囲での活用も期待されている。

   司会の羽鳥慎一「今日の発表で、もしかしたらこの名前が呼ばれるかもしれません」

   玉川徹(テレビ朝日)「僕は去年取るんじゃないかと思っていた。人類に対する貢献で、今年でも遅いくらい」

   番組が注目したもう一人の候補者が、筑波大学の柳沢正史教授。睡眠の研究でブレイクスルー賞受賞を受賞している。オレキシンという、夜になると少なくなる脳内物質の研究で、食欲に関する部分で作られていたが、当初は機能が不明だった。マウスの実験では、食欲に変化はなかったが、オレキシンなしのマウスに急に眠り込む睡眠障害が出たことから、睡眠に関連する物質であることが判明した。オレキシンが増えることで糖の活用が活発になることから、オレキシンが減る夜に食事してすぐ寝ると肥満の原因になるという可能性も指摘されている。

   番組では日本の研究事情についても報じた。光触媒の研究を進めている藤嶋昭さんが研究チームとともに上海理工大に移籍するなど、近年は中国などへも研究者が流出している。

   竹内薫さん「日本で研究資金が出ない。中国のほうが出るという実態がある。自由主義諸国との違いがあるので躊躇するところもあると思うが、それがあったとしても条件がいいことが優先されるのではないか。基礎研究をケチると30年後にツケが回ってくる。基礎研究は花開くかどうかわからないので、ばらまく必要がある。若い人が安定的に長期的に研究できる制度を整えることが重要」

(みっちゃん)

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