最近、中山秀征さんから「面白いから、見てください」と言われて、TVerで配信されている「神回だけ見せます!」を見ました。
これは、見逃し配信ではなく、日本テレビの映像ライブラリー「アーカイブセンター」に眠る「神回」を紹介するものです。今回は、日本テレビ執行役員コンテンツ制作局専門局長の高橋利之君がチョイスしました。
それが、日本テレビで、2001年から2002年に放送された「ブラウンさん」(演出三枝孝臣・CP吉川圭三)で、司会は、中山秀征と小野寺麻衣アナでした。テレビ放送の歴史を築いたレジェンドをゲストに迎えて伝説やエピソードを聞くのです。
今回のゲストは、元日本テレビの井原高忠さん(故人)で、1953年テレビ開局の年に日本テレビに入社して、「光子の窓」「巨泉×前武ゲバゲバ90分!」「スター誕生!」等の番組を手掛けた伝説のテレビマンです。日本のバラエティ番組の礎を築いた名プロデューサーでした。
視聴率は家賃のようなもの
この神回の中で、井原さんは数々の言葉を残しています。
「自分でテレビ局を持ちたいけど、持てないから、井原商店の社長という気持ちで番組を作っていた。テレビ局の軒先を借りているのだから、視聴率はそれに対する家賃を払っているようなもの」
「テレビをやる人間に必要なのは、才能・お金・努力だ」。それを徹底した結果、本番の最中に、出演者に「帰れ」と言うのです。それは、自分の方針と合わない出演者がいてもしょうがない。残った人達だけでやるのです。それは、1週間前に資料として、誰でも練習すればできるように、台本や音楽テープを渡してあるからです。
ワイヤレスマイクをテレビ局で初めて使ったのも、井原さんでした。当時は音質が悪いので音声さんが使うのを嫌がったのですが、演出を大事にしたい井原さんが自分で買ったのです。すると、日本テレビの音声さんも追随しました。井原さんは「日本テレビより金持ちだと、えばった」と笑っています。
元気で、テレビの制作現場についていろいろ喋り、面白いのです。完璧主義で、当てた番組も多く、自信があるのです。
井原さんのお話に感動しました。
私が以前から、このコラムで申し上げている「他人がやらないことをやる」ことの意義について、改めて教えられました。