大空幸星「今、高齢者は貧困化しているんです」
ジャーナリストの立岩陽一郎は「本当に、真夏の暑い中、僕よりはるかに年上の人が交通整理をしていると頭が下がる思いです。やらなきゃならない立場になったら僕だってやります」と言ったうえで、「こういう事態は今後さらに加速するのでしょうか?」と尋ねた。
坂本氏は「こうした流れはますます強くなっていくと思います。管理人、警備員、清掃員などの仕事がマジョリティだが、これらは大切な仕事。それなのに評価が高くないのが実情。もっと労働環境や賃金も良くしていくことが大事になってくる」と説明。
実際に午前0時~7時まで警備の仕事で、時給1200円で働き、月10万円ほどの収入を得ているという69歳男性は、「昼に働きたいが、時給のいい夜のバイトをしている。帰ったら寝るだけ」と言い、労働環境や賃金は必ずしもいいとは言えないのが現実。就業中の高齢者の事故も増えている。シルバー人材センターによると2021年には3930件の事故があり、死亡事故はそのうちの20件あった。
元衆議院議員の金子恵美は「60代継続雇用者の研修は企業によってはやっているが、肉体労働に関する労務管理は十分ではないと思う。とはいえ労働力不足の中で、戦力として高齢者にいて頂くのはありがたいことなので、意欲や能力に適した仕事が得られるようなマッチングが今後大事になってくる」と話す。
実業家の大空幸星は「今、高齢者は貧困化しているんです。生活保護受給世帯に占める高齢者の割合はどんどん増えていて、今は半数を超えています。働かざるを得ない人が増えると、市場に労働力が供給され続けるわけですから、いつまでたっても若者や現役世代の給与は上がらない。そうなると経済成長もできなくなり、分配もできない。で、また高齢者が貧困になるという負のループになっている。真剣に考えないと、未来も希望もない社会になってしまう」と指摘。
坂本氏は「今後も働く高齢者は増えると思う。ただ、高齢期には短時間で身体的負荷の少ない仕事がいい。こうした仕事を増やさないといけない。賃金ももっと上げていいと思うし、警備員などの現場仕事の方々は本当に立ちっぱなしでなくてはならないのか、というところから考えていかないといけないと思う」と話した。
(バルバス)