<1年前のワイドショー> いまは定着した感がある「親ガチャ」。しかし、話題になったのは昨(2021)年の今ごろのSNSでした。
出てくるものが選べないカプセルトイの「ガチャ」や、スマホゲームの抽選でアイテムを得る仕組みのことを「ガチャ」といい、そこから派生して若者たちの間で「自分の境遇は親や家庭環境によって左右されてしまう」という意味で、使われるようになりました。
「気持ちはわかる」「親としてはショック」
筆者も、親であり、かつては子でもありましたが、この言葉を耳にした時、何とも複雑な気持ちになったものです。
(J-CAST)ワイドショー通信簿の「『親ガチャ』意識に加藤浩次が感想 『次、どうするかの問題』」(2021年9月16日、日テレ系「スッキリ」)は、ネット上で飛び交っている投稿を紹介しています。
「ウチは貧乏で、進学を許されず、早くから働いた」「もっと身長が高かったらな。親ガチャ失敗だな」といった嘆き。一方、「言葉は好きじゃないけど、他人の家庭がうらやましい気持ちはわかる」「自分がうまくいかない原因を親のせいにするみたいでイヤだ」などの声もあったといいます。
対して親世代に聞くと、「親としてはショック」「親も子を選べない。こんな言葉を使うのは失礼」「ないものねだりしないで。人は人と教えます」の反応だったそうです。
「『親ガチャ』と格差と政治 羽鳥慎一『つまりは《社会ガチャ》』」(同15日、テレビ朝日系「モーニングショー」)は、この言葉が生まれた背景を取り上げています。
筑波大学の土井隆義教授は「経済成長も乏しく、先の見えない社会で生きている若者たちは、人生は自分の思い通りにはならず、努力しても超えられない壁があると感じている。結果を自分のせいにされても困るという気持ちの表れでしょう」と分析。
ジャーナリストの浜田敬子さんも「(若者の)気持ちはすごく分かります。昔は一億総中流みたいな形で、大学進学など、努力によって克服できることが多かった。今は親世代の格差自体が開いてしまって固定化されてしまっているし、格差を克服するための競争の土台も整っていない」と分析。
さらに「これはやはり税金の再配分の問題だと思います。若者たちは嘆いているだけではなく、政治に参加し、格差の是正をしてくれる人たちに政治家になってもらうことにエネルギーを向けてほしいと思います」と提案していました。
記事中、SNSのつぶやきに「親ガチャ、友達ガチャ、教師ガチャ、上司ガチャ。人生は運」というものがありました。だとしても、生きていくには諦めずに、いい方向に向かっていくしかないのだと思います。
(コムギ)