「めざまし8」の「ニュースわかるまで解説」のテーマは、岸田文雄首相がきのう8日(2022年9月)に急遽発表した、物価高対策としての5万円給付案。倉田大誠アナは「この給付案、なぜこのタイミングなのか。対象が住民税非課税世帯としたことで、物議をかもしています」と切り出した。
SNSでは「住民税非課税だけで線引きするのはやめてほしい」「困っているのは非課税の人たちだけじゃない。みんな生活が苦しい」と不満の声があふれた。一方、街で聞いてみると「財源の問題もあるので絞り込みは必要」「額が少ない。対象を絞るならもっと額が多くてもいいのでは」と賛否が渦巻く。
物価高対策として住民税非課税世帯を対象に
倉田アナが「物価高をフォローするための現金5万円給付。対象とされている住民税非課税世帯は全国で約1万6000世帯、全体の27%に当たります」と説明すると、司会の谷原章介は「全体の27%が非課税世帯というところが驚きです」とコメント。
総額9000億円と見積もられる財源は予備費から出るので国会を経ずに決められるという。対象となる住民税非課税世帯は東京23区でいうと、生活保護受給者、1人親で年収204.4万円未満の世帯、パート・アルバイトなどで年収100万円以下の世帯、それに年金のみで生活している人たちとなる。
谷原は「5万円で何ができるかというと、限られている。頑張ってギリギリで納税している人は苦しい生活をしているのに給付がない」と問題点を整理する。
ゲスト解説の時事通信社の山田惠資解説委員は「給付対象の線引きラインを収入が低い方に合わせると、低いのに課税対象の人は恩恵を受けられない。家族の数が多い世帯も苦しい。所得で線引きすれば不満は出る」と指摘。
谷原は「年金生活者でも資産がある人もいる。それにしても納税できない非課税世帯が27%というのは驚きです」と繰り返したうえで「1回5万円ではなく毎月5万円なら違ってくる。5万円1回ではラクにはならないです」とコメント。
お笑い芸人のカズレーザーは「5万円が適当なのかはわかりませんが、少ないとは思う。長期的に見てもこの給付によってプラスの影響が出るほどではないでしょう。バラマキと批判されたくないから、対象を絞った。そのやり方として非課税世帯というのが簡単だったから問う理由ではないか」と指摘。
ニュースメディア「ウートピ」編集長の鈴木円香は「決して十分ではない5万円を1回給付するより、毎月今より5万円多く稼げるようにすることが大事。抜本的な改革が必要。5万円をもらっても誰も救われないと思う」と主張。
フジテレビ解説委員の風間晋は「そもそも、インフレ対策の常道は金利を上げることですよ。世界中でそれをやっているのに、日本はそれができない。だから給付という発想になる」とコメント。
倉田アナは「その5万円給付がなぜ突然発表されたのか。ゲスト解説の山田さんは、背景に支持率低下への危機感があるのではと言います」と話題を転換。
山田解説委員は「旧統一教会問題と安倍元首相の国葬費で落ち込む支持率に歯止めを掛けたい思いがある。岸田政権は党内基盤が強くないため、内閣支持率が特に重要。この1年高水準で推移していたが、参院選後に急落している。これを食い止めるために打ち出したのではないか」と言う。
谷原が「お金で支持率を買うみたいですね」と言うと、風間は「その場しのぎにしかならないと思う。強い経済を取り戻す政策を進めないと支持率の回復は遠い」と主張。
山田氏は「経済の成長はとても大事ですが、これはなかなか見通せていません。なので私は分配を考えるべきだと思う。例えば収入1億円以上の高額所得者への累進課税を財源にして低所得者に分配することを考えるべき。これを避けて給付としても付け焼刃になるだけです」と指摘した。
(バルバス)