タイトルコールの後、司会の谷原章介が「本日のトップニュースです」と紹介したのは、パキスタンで続く豪雨。谷原は「パキスタンが史上最悪の洪水で、国土の3分の1が水没しています。国連は支援を呼び掛けています。現地はどうなっているのか、取材しました」と切り出した。
「国土の3分の1が水没した」
川沿いの建物がゆっくりと倒れ、濁流に飲み込まれる映像とともに紹介されたパキスタンの洪水被害。2カ月もの期間、豪雨が降り続くパキスタンのレーマン気候変動大臣は「国土の3分の1が水没した」と発表。これまでに死者は1100人以上。国民の7人に1人に当たる3300万人が被災。シャリフ首相は「パキスタン史上最悪のものだ」と語っている。
去年8月にNASAの衛星がとらえたパキスタンの画像と、現在の画像を比べるとその差は一目瞭然。森林部分の多くが浸水している。4月に撮影された衛星画像を見ても、緑に覆われていた地域が茶色い濁流に染まっている。
財政危機に加え、史上最悪の大洪水に見舞われたパキスタンに、国連は220億円規模の支援が必要だとしている。現地で活動する日本の「難民を助ける会」は雨が収まっても困難な状態が続くとして、「下水の問題で衛生状況が悪化して、蚊が大量発生しデング熱が流行する。またコレラなど水による感染症が広がるなど、被害は何カ月も尾を引いて続くと考えられる」と話す。
低気圧との関係
いったいなぜ、これほどの豪雨が発生したのか。気象防災キャスターの天達武史は「中国とヨーロッパに高気圧がずっと居座っていて、その間にあるパキスタン周辺には低気圧がずっと停滞しているかたちになっている。これで偏西風が大きく蛇行して、大雨が続いている。さらに周辺の海面水温がかなり高くなった影響で雲が発達しやすくなり、より大雨になってしまった」と解説。レーマン気候変動大臣は洪水の原因の1つとして海外メディアに対し「ヒマラヤの氷河が溶けたためで、雪解けの原因は暑さだ」と話している。
谷原が天達に「パキスタンでは以前も大雨がありましたが、ここまでの大規模な洪水というのは、あったのでしょうか」と問うと、天達は「2010年にも大雨があり、大きな被害をもたらしました。今回は6月頃からずっと大雨が続いているため、急にはできないハード面の対策が遅れている」と話す。
ジャーナリストの立岩陽一郎は「今後の影響が大きいと思う。アメリカは長い間、気候変動を否定してきたんですが、オバマ政権がこれを変えるんです。パリ協定で演説したオバマは会場の制止を振り切って『気候変動で中東からアフリカにかけて政情が不安定化する。その結果、テロをもたらし、多くの被害を与えている。だから気候変動に対応しなければならない』と言ったんです。国際社会がすぐに支援しないといけないのは、今の被害では終わらないからです」と主張。
ラジオ・フランス特派員の西村カリンは「気候変動の影響は全世界で起きる。災害の後で起きるのは人の移動です。住めない場所が増え、戦争につながるリスクも増える。他人ごとにしてはダメで、1人1人心の準備と物理的準備が必要。今後も気候変動対策を行い、変動のスピードを鈍化させることが重要」と指摘。
谷原は「医療的な支援、経済的な支援、人的な支援が必要ですね」と話した。
(バルバス)