8月24日(2022年)放送の「刑事7人」(テレビ朝日系)第7話ゲストとして出演した俳優の柾木玲弥(まさき・れいや)さんの「父への愛憎」を巧みに表現した演技に、ツイッターなどで称賛の声が寄せられた。(ネタバレあり)
中山信二(池田成志さん)という男が遺体で発見され、息子の西野晃(柾木さん)に警察から連絡が入る。駆け付けた晃が信二の額に触れ「よく冷えてますね」と言い放ち、天樹悠(東山紀之さん)と野々村拓海(白洲迅さん)は驚いたように顔を見合わせる。
不倫相手を殺害し離婚していた
「父親といっても離婚してから13年、全然会ってなかったものですから」という晃は、自殺とみられることを告げられても動揺する素振りを見せず、所持品の中から小銭だけを取って「あとは捨てといてください」とあっさり。司法解剖をさせてもらいたいと頼む悠には、「どうぞ。できればそのまま処分してもらいたいんですが」と事もなげに返した。
信二は15年前に事業を始めるも早々に失敗し、多額の借金を抱え、妻の清美(中島ひろ子さん)には暴力もふるっていた。その上13年前に不倫相手の女性を殺害して7年の実刑判決を受け、それを機に信二と清美は離婚したのだった。
さらに、小料理屋の女将・山尾京子(加茂美穂子さん)が殺害されているのが見つかり、カウンターに置いてあった煮物が信二の胃の内容物と一致していることが明らかに。専従捜査班は、独身という設定で店を営んでいた京子に言い寄っていた信二が、京子に結婚していると明かされ衝動的に殺害、その後自殺したという線で捜査しようとするが、悠は「違う可能性を捨てる根拠もない」と、独自に調べ始める。
信二の貯金があれば相続したいとして接触してきた晃を、悠は信二が住んでいた寮に連れて行く。晃はゴミだらけの部屋を見て「あいつ、ここに住んでたんですか?」と驚き、「住み込みかもしれないけど、ここはあくまで会社の寮ですよね。他に自宅借りてたんじゃないですか?」と悠に問い詰めた。
悠はさらに信二の住民票の住所だったマンションの1室に晃を連れて行く。生活感がなく、新品の布団が置いてあるのを見て、晃は
「女の人を連れ込んだ時のために取っておいたんじゃないですか?いい年して相変わらずなクズっぷりですね。この部屋も多分、カッコつけるためだけに借りてたんですよ。昔からそういう無意味な見栄を張る人間でした」
とうんざりした調子で語った。
「親父の冤罪を絶対晴らしてやってください!」
悠はもう1カ所、信二の遺体が発見された現場に晃を連れて行った。ここで初めて信二に新たな殺人容疑がかけられていることを晃に明かし、京子の殺害現場と距離が離れていることから「何者かに自殺に見せかけられて殺害された」という可能性を提示する。
悠は晃が部屋を見て驚いていた様子から、本当は離婚の後も晃が信二と会っていたことに気付く。悠は信二が世間ではなく晃に対して格好つけたかったということと、新品の布団は「いつかあなたが泊まりに来た時のために用意されたものだった」という推察を披露した。
晃は
「あいつに会ってたこと黙ってたのは、母への裏切りになると思ってたからです」
「何か...何の根拠もないけど、でも、どっかで...どっかで絶対にもう1回、家族3人で暮らす日が来るって、勝手にそう思ってたんです。だから、そのために繋いでおかないとって」
と絞り出すように打ち明けた上で、
「あいつの遺体...親父の遺体、まだ処分されてないですか?もし間に合ったら、葬式してやりたいんです。僕がやんなかったら、親父、誰にも弔ってもらえないし」
と悠に頼んだ。そして「親父...親父は、絶対にやってないです」と、遺書が見つかっていないことについて「何も残さないはずがありません」と訴え、「親父の冤罪を絶対晴らしてやってください!」と涙ながらに頭を下げた。
「親父は、親父は結局人殺しなんですか!?」
信二の葬儀当日、晃しかいない会場に悠がやって来る。70万円借りて葬式を挙げたという晃は、「天樹さん、親父の冤罪は晴れますか?もしそうなら、何よりの供養になると思います。金借りて、無理して葬式を挙げたかいがありました」と期待の眼差しを向けるが、悠が告げたのは、信二が真犯人という事実だった。
悠は信二が自殺した現場を洗い直し、「晃へ 清美へ また人を殺してしまった 変われなくてすまん」と書かれた遺書を発見。同じペンのインクの跡が信二の手に残っていたことから、信二が京子を殺害、その後自殺したということで間違いないと晃に伝えた。
「最初の見立てが変わることは十中八九ないと思っていました」と打ち明ける悠に、晃は「だったら何で!」と大声を出す。
悠は信二の額に触れた晃の手が震えていたのを見て、「救いたい。たとえ1でも2でも違う可能性があるなら調べるべきだと思いました」と訴えるが、「だから...だからわざわざ親父がいたところ、回ったってことですか?寄り添うようなふりして!」と、晃の苛立ちはおさまらない。
晃は頭を抱え、
「やっと...やっと親父のこと、ずっと好きだったんだって...本当は、本当は家族3人でずっと暮らしたかったんだって!やっと気付けたのに、思い出せたのに...なのに、なのに親父は、親父は結局人殺しなんですか!?」
と声を荒げる。
「申し訳ない」と頭を下げる悠に、晃は
「何が?何がだよ!母ちゃんも裏切って傷付いて、親父だってもうこの世にはいねえし!もう家族は...家族はもうバラバラなんだよ!あんたのせいだよ。あんたのせいだよ!」
と詰め寄り、「もう帰ってくれよ。帰れよ!」と悠を突き放した。
棺桶にすがり付くようにして嗚咽する晃のもとに清美がやって来る。清美が持って来たきんぴらごぼうを棺桶の上に置くと、
「ねえ母さん、覚えてる?親父、サッカーで骨折したの」(晃)
「困らせるばっかりだった、もう...」(清美)
と、親子2人は泣き笑いで会話したのだった。
父親への愛憎入り交じる息子を好演した柾木さんに、ツイッターなどでは
「息子が父親を求める姿に号泣 息子役の俳優さんの演技力に号泣」
「クズの父親に対する軽蔑と憎しみとそれでも捨てられない愛でぐちゃぐちゃになって苦悩する息子...良かった...」
「息子役の人すごいよかった...救われてほしかったな...」
と、絶賛の声が上がった。
(TT)