NHKの大河ドラマ「鎌倉殿の13人」8月21日(2022年)放送回。源頼家(金子大地)が危篤から復活しまったことで、一大事である。義時(小栗旬)と政子(小池栄子)は、頼家危篤前まで体制を戻すと画策。どうやって収拾するのかとドキドキしながらの今回、頼家に気づかれないように、また北条の仕業とわからぬように、比企が自ら滅びたこと伝えるなどとは到底無理な話だ。
殺戮はまだまだ続く...
政子が義時を説き伏せて母として頼家に事実を話すことに。誰も頼家が助かると思っていなかったと正直に話したが、比企は自ら命を絶ったと嘘をつく。実の母から「死んだと思った」などとサラリと告げられたら、どんな息子であっても辛いのは当たり前である。
やはり頼家は怒り爆発。頼家は、母の嘘に気づき、騙されたと知り、せつと一幡を殺されたと知る。「北条をわしは絶対に許さん。お前もだ!」と、実母である政子を鬼の形相でにらみつけた。この場面で頼家に同情を感じたのは私だけではあるまい。頼家は、父の死後ずっと孤独だったのだろうが、この時の孤独感は極みだったに違いない。非情の事実と向き合うことなどできないだろう。「頼家からみたら母の政子も母じゃないよな...」「頼家は馬鹿じゃないってずっと描写されてきたけど政子とのやり取りで全て察する聡さが悲劇すぎてつらい」「キツい...頼家と政子の間にはもともと比企が挟まっていて、『母子の絆』は薄いんだよ」「祖父や母を恨まねばならない息子...。頼家の辛さが伝わってきた」などこの親子とは思えない会話にネットも沸いた。時代の不気味さが改めて伝わった。
息子に「お前も許さない」と言われた政子の心中にも同情してしまうのだ。よく考えたら、政子も孫の一幡は亡くなり、息子の頼家は修善寺へ送られ、夫の死後はいいことが全くない。
命がけで「血縁を守る」ということの覚悟は、今の時代では想像だにできないのが正直なところである。鎌倉殿の殺戮はまだまだ続くのかと思うとゾっとする。
(Y・U)