「僕の姉ちゃん」(テレビ東京系)。始まってすぐに「これは好きなタイプのドラマ!」と思った。姉弟が暮らす街並み(江ノ電・鵠沼駅界隈)や平屋の一軒家の外観、室内の家具調度品のレトロな感じも、姉弟が着るトレーナーのクタッとした感じ、もうすべてがしっくりくる。劇伴も、ハンバートハンバートが歌う主題歌「恋の顛末」も、オープニングの人形も、ドラマの世界観を作りあげるありとあらゆるものがぴったりマッチしていて本当に心地よいドラマになっている。ゆったりとした会話劇が病みつきになる。
2人の何気ない日常を描く
原作は雑誌「アンアン」で長期連載している益田ミリの同名漫画。益田といえば、原田知世主演「スナックキズツキ」の原作者でもある。そういえばあのドラマも好きだった......。
輸入家電の会社に勤めるちょっと辛辣な30歳の姉・ちはると、冷凍食品メーカーに勤める社会人1年目の弟・順平、2人の何気ない日常を描いている。姉・ちはるを黒木華が、弟・順平を杉野遥亮が演じており、この2人があまりにもナチュラルな演技なので、2人の暮らしぶりを覗き見しているような錯覚に陥る。少々クセ強めの姉が、世間ずれしていない弟を相手に、女性の本性とも思えるようなところをあえて見せて、変な女性にひっかからないように教育しているようにも見えて面白い。
第1話(7月28日未明、2022年)のタイトルは「家庭的キーワード」だったが、「うちの会社にもいけすかない女がいる。その子、うちの部署のイケメン狙ってるんだけど、その手口がカンにさわるのよ。『昨日、アイロンかけながら見ていたテレビが面白くて』とか、『いつも寄るお花屋さんの前で友達とばったり会って』とか言うの」と。「『アイロンかけながら』とか、『いつも寄るお花屋さん』とか、家庭的キーワードをいちいち入れ込んでくるのがカンにさわるのよ」と姉。「女に無意識などない!」と弟に言い放つ。「イケメンは9割方つまんないよ。ああいうのは浮気でちょうどいいの」とか、「イケメンは『青春を振り返る小道具』」とか。いちいち納得してしまう自分もいる。
あんまり、面白くて、つい、Amazonプライムで一気見してしまったほど。姉ちゃんの言葉は人生の箴言だ。Amazonプライム全話配信中。
(くろうさぎ)