新型コロナの第7波で発熱外来がパンクしているなかで、医療現場に大きな負担を強いているのが患者数の報告システムだ。入力項目が多かったり、国と東京都と別々に報告が必要だったりと、第7波になっても非効率的なシステムに振り回されている医療現場の現状を、きょう5日(2022年8月)の「モーニングショー」が取り上げた。
新規感染者の報告については、厚生労働省が2020年5月に「ハーシス」というシステムを導入し、医療機関が患者情報を直接入力している。当初は入力する情報が約120項目もあったが、その後「感染場所」「感染原因」「パスポート番号」「喫煙歴」など約50項目に削減された。それでも、現場からは「たびたびシステムダウンが起き、使い勝手も悪い」と苦情の声が多数あがっているという。
「ハーシスに入力する作業だけで1時間以上かかる」
東京・池袋大谷クリニックの大谷義夫院長がリモート出演し、実状を訴えた。大谷院長の場合、診察中に電子カルテに患者情報を入力し、それをもとに診察後に「ハーシス」に入力。さらに国の検査件数把握システム(G-MIS)と、都の検査件数把握システムにそれぞれ必要な情報を入力するのだという。「ハーシスに入力する作業だけで1時間以上かかる。この事務作業がなくなれば、現場の負担は減る。検査件数把握のためのシステムも、国と都それぞれに入力しているが、一本化していただきたい。無駄な労力が多すぎる」と訴える。
ちなみに政府は4日、「ハーシス」について、「報告年月日」や「漢字氏名」など最低限の7項目に削減することを決めたが、大谷院長は「まだ連絡は来ていないし、仲間の医療機関も知らなかった」と話していた。
新規感染者数の全数把握については、政府分科会の尾身茂会長らが見直しを提言しているほか、各自治体の知事からも「早急に見直すべき」「政府はやめる判断をしてほしい」という声があがっている。一方、日本医師会の釜萢敏・常任理事は「見直しには同意だが、すぐに全数把握をやめると感染状況の把握が難しくなる面もある」と危惧する。
廣津留すみれ(バイオリニスト)「コロナになってからできたシステムなのに、3つもバラバラな(感染報告等の)入力先があるというのが衝撃的です。7項目に減ったことはいいことですが、システムデザインからもっと考えた方がいいと思います」
玉川徹(テレビ朝日社員)「僕は全数把握は続けるべきだと思う。法的に行動抑制をさせることができない日本では、人々が新規感染者数を見て、自分の行動を考えている。数がわからなくなったら、行動の目安がなくなり、押さえがきかなくなってしまいます」
(キャンディ)