岩田絵里奈アナが「安倍元総理が銃撃され亡くなってからきょうで2週間。政府は9月27日(2022年)に国葬を行うことを、今日閣議決定する見通しです。過去の国葬の規模や内容、当時どんな1日だったか見ていきます」と7月22日の「スッキリ」で切り出した。
海外では2004年に米国でレーガン元大統領が、1997年にインドでマザー・テレサが国葬された。また1981年にはジャマイカでボブ・マーリーが、2020年にはアルゼンチンでマラドーナが国葬されている。国民的英雄のマラドーナの国葬では3日間喪に服した。
「反対の少ない」「歴史的な意味はある」
国葬の場合、費用は国が負担。その日が休日になるかどうかについて、松野博一官房長官は「一般には喪に服することを求めない」と、休日にする意向ではないと話している。かつて国葬令という法律があった時代に、伊藤博文・初代総理大臣が天皇の命令で国葬されたときは休日になったが、国葬令は戦後廃止されている。
総理経験者では1967年に吉田茂が国葬された。この日のテレビ欄を見ると朝7時から各局が中継し、関連番組は深夜まで及んだ。会場の日本武道館には5700人が参列し、3万人が献花に訪れた。予算は1800万円だったが、現在の貨幣価値に直すと7560万円になるという。最近の総理経験者の葬儀は内閣と自民党の合同葬が主流で、2020年の中曽根康弘元総理の葬儀も合同葬。1億9000万円の費用が掛かったことで議論を呼んだ。
国葬にする旨を発表した岸田文雄首相は「歴代最長8年8カ月首相の重責を担った」などの理由を挙げたが、党内には「保守層との対立を避けたい岸田首相の思いと、国葬で訪れた各国首脳と会談し、後継者は自分であると印象付けたい」という岸田首相の思惑を指摘する声もある。
公明党、日本維新の会、国民民主党はおおむね理解を示しているが、立憲民主党、共産党、社民党、れいわ新選組は「説明が不十分」など反対の声を上げている。
読売新聞特別編集員の橋本五郎は「国葬には基準がないが、憲政史上最長の任期というのはひとつの基準になる。評価は一致することはなく反対意見が出るのは当たり前。無難なのは内閣合同葬だが、これにしても反対意見は出るだろう。私は賛成ですが、国民に強制してはいけないと思う」と自説を述べる。
しかし司会の加藤浩次は「あのような形で亡くなられて、自民党の人が国葬にしたいという気持ちはわかる。でも合同葬でいいのではないか。そのほうが反対の声が少なくて済むし、安倍さんの功績を称えることになる」と反論。
橋本は「反対する人はどっちでも反対する。レーガンの国葬にも反対する人はいた。合同葬にしても内閣が半分の費用をもつのだから、反対はある。歴史的な意味はあるので国葬にしたほうがいい」と再反論。
加藤も自説を曲げず「国で分断を生んでもやる意味は何か。合同葬のほうがいいと思う」と言い続けた。
俳優の小澤征悦は「個人的な意見だが」として、「あってはならない悲しい事件で亡くなったわけだし、功績もあった。何かの形でやるのはいいと思うが、気になるのは、もし安倍さんがああいう形で亡くなっていなかったら国葬にしたのかということ。悲劇的な死だから国葬だというのでは、感情論で動くことになる」と指摘した。
作家の今村翔吾は「国葬にする理由を説明するべき。党内でささやかれているという政治的理由があるとしたら余計反発されることになる」とコメント。
加藤は「手を合わせて弔う人が一人でも多いほうがいいので、反対の少ない合同葬」、橋本は「現政府の意志として国葬で見送りたいということ」と譲らなかった。
(バルバス)