新型コロナの全国の新規感染者が初めて15万人を超えるなか、期待されていた国産初の飲み薬の緊急承認が見送りとなった。きょう21日(2022年7月)の「めざまし8」が取り上げた。
現場の医師からは不満の声も
承認見送りとなったのは、塩野義製薬が開発した「ゾコーバ」。感染初期に一日1回、5日続けて服用する錠剤で、同社が国内で行った最終治験では、体内のウイルス量が90%減少し、BA.4やBA.5にも効果が確認された。重い副作用はみられず、感染が拡大する新型コロナの局面を変える切り札になるはずだった。
しかし、厚生労働省の分科会は20日、緊急承認制度の初の適用を見送り、継続審議とした。「同時に使えない薬が多い」「妊婦や妊娠の可能性がある女性に使用できない」などの課題を踏まえ、「現時点での治験データは有効性を推定するには不十分」という結論に達した。ことし11月に治験の最終結果を踏まえ、再度審議するという。
現在、国内で承認されているコロナの飲み薬は、海外製の「モルヌピラビル」と「パキロビッドパック」の2種類で、いずれもハイリスクのある人や高齢者が対象だ。
過去最多の5160人の感染者が出ている沖縄県で医療現場に携わる琉球大学の藤田次郎名誉教授は「(塩野義製薬の新薬が承認されれば)5160人のうち半分ぐらいは使える。20~40代という社会生活を担う人が早く復帰できるようになる」と指摘。「(分科会の議論を)最初から最後まで聞いていましたが、医療現場の逼迫さが伝わっていないのではないかと感じた。現場は選択肢が一つでも増えることを求めています」と訴えていた。
金子恵美(元衆院議員)「早期に治療ができることになれば感染しても恐ろしくない病気になるという期待はあるが、安全性が担保されないまま出回れば、逆に不安です。しっかり審議したうえで万全の態勢でリリースしてほしいですね」
(キャンディ)