「小麦の値上げが止まりません」と岩田絵里奈アナが切り出し、「小麦価格はここ10年、大きな変化はありませんでした。しかし今年(2022年)4月、大きな値上がりがありました。さらにこの10月には4割の値上がりとなるという試算も出ています。小麦を扱う飲食店を取材し、その苦悩の声を聞いてきました」と、7月7日の「スッキリ」で伝えた。
10月に小麦が4割値上がりするとの試算を出したのは、第一生命経済研究所の永濱利廣首席エコノミスト。日本の小麦は9割が米国・カナダ・オーストラリアからの輸入で、政府が一括で買い付けし、市場に売り渡ししている。その際の価格は毎年4月と10月に決められる。これまで安定していた小麦の価格だったが、この4月には17.3%値上がりしたのだ。
北米産の小麦が「争奪戦」に
永濱氏は「天候不順で米国やカナダの収穫量が減ったのが原因。10月には、これにロシアのウクライナ侵攻の影響が乗っかってくる。これまでロシアやウクライナから小麦を買っていた国が北米産の小麦に乗り換えるため、争奪戦になる。そこに円安も加わり、価格が4割近く上昇すると考えられる」と言う。
学生街・早稲田周辺を取材したのは阿部祐二リポーター。人気のベーカリーでは「学生街なので、値上げはしたくない。今のところ値上げせずに堪えているが、少しずつ上げていかなくてはと思っている」と話す。同店では、人気のアンパンは180円だが、190円への値上げもありうると話す。しかし看板商品のコロッケパンは200円のまま値上げしないという。
ラーメン店も苦しんでいる。人気のラーメン店「武道家」では現在、ラーメン並が700円。「10年間価格据え置きでやってきたが、10月には麺の仕入れ先が値上げをするので、ウチも価格改定を検討せざるをえない」と話す。「麺珍亭」は人気の油そばを680円、大盛でも680円で販売していたが、こちらも値上げを検討中だという。「学生街なので寄り添った価格で販売したいのですが、2月に600円だった油そばを680円にした。10月はどうするか悩み中です」と言う。
経営コンサルタントの坂口孝則は「小麦はそこまでは値上がりしないのではないか」として、その理由を「小麦価格は現在高止まりしていて、先物市場では下落基調にある。ラーメンが大幅に値上がりするのではないかというのは煽りすぎの感がある。というのはラーメン価格に占める小麦価格の割合は10%程度。600円のラーメンなら60円分です。ただ、燃料・物流価格が上がっているので、小麦の値上がりを言い訳に値上げするというのはあるかもしれない」と指摘。
司会の加藤浩次が、「給料はどうなんですか? 上がってるんですか?」と聞くと、坂口は「実質でマイナス1.8%くらいです。安いものを買うだけではなく、多少高くてもいいものを買うサイクルにしないと、日本だけいつまでたっても賃金が上がらない。モーリーさんとかにパーティで盛り上がってもらわないと」とコメント。
振られたジャーナリストのモーリー・ロバートソンは「パーティで盛り上がれるお金持ちもいるがワーキングプアの人もいる。格差が広がっているなかで、みんなが買い控えをするとパン屋さんやうどん屋さんは倒れてしまう。庶民にシンパシーのないお金持ちには腹が立ちます。お金を持っている人は使命感として使ってもらいたい」と指摘したうえで、「価格転嫁に合理性があるか、賢く判断してくれるアプリを開発してくれたら、このうどんの値上げは適切かどうか判断できるのに」と提案。
しかし加藤は即座に「それは難しいですよ」と一刀両断。
坂口は「公的補助が必要です」と補足した。
(バルバス)