朝活というわけではないが、年のせいかどんどん早起きになってきた。特に土日の休日ともなると、用事もないのに無駄に早起きしてしまう。そこで、見つけたのがこの番組だ。「NHK映像ファイル あの人に会いたい」。毎週土曜早朝5時40分からわずか10分間の番組だが、毎回、楽しみにしている。
人生と、珠玉の言葉を掘り起こす
「あの人に会いたい」というタイトルには、「会いたくても、もう会えない」という意味もある。つまり、鬼籍に入った人たちの過去映像を使った番組だ。たとえば6月(2022年)のラインナップはというと、4日が「千の風になって」の訳詞・作曲で知られる作家・新井満、11日が野球漫画「ドカベン」の作者、漫画家・水島新司、そして、18日がギタリストの寺内タケシ。25日は朝日新聞の日曜版で連載されていた「原田泰治の世界」の画家・原田泰治が取り上げられる予定。
NHKに残る膨大な音声映像資料から、著名人たちの人生と、珠玉の言葉を掘り起こすもので、当の著名人たちはもちろんのこと、そこに映し出された街並みやファッションがもうひとつの見どころで、懐かしい映像になんとも癒される。そして、出てくる人たちの日本語の美しいこと。私たちが失ってしまったものを改めて気づかせてくれるような番組だ。今月は新井満の「傷ついた人に対して癒そうとした人だけが、初めて自分も癒される」という言葉にはっとした。
NHKは、粗製乱造、無駄に番組を作らず、もっとアーカイブスを活用して、こういう番組を作って欲しいものだ。
(大熊猫)