老々介護の両親を娘が記録 続編映画に込めた思いとは

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   「ぼけますから、よろしくお願いします。~おかえりお母さん~」。実の娘が認知症の母とこれを世話する90代の父の暮らしを追ったドキュメンタリー映画の続編が、全国で公開中だ。全国の小劇場で約50回の舞台挨拶を続ける、一人娘の信友直子監督へのインタビューも交えて、21日(2022年6月)の「めざまし8」が伝えた。

   神奈川県川崎市のアートセンターで18日、アンコール上映会が開かれた。2人で見た老夫婦は、「2人で見ないと意味ない」。信友監督が舞台あいさつした。「明日から、前を向いて、明るく生きていけるような力になれれば、父も母もこれに勝る喜びはないと思っています」。映画では、2017年当時88歳だった母親が、「今年もよろしゅうお願いします。ぼけますからお願いします」。認知症の妻を90代半ばの夫が介護する。老夫婦の姿を娘の信友監督のカメラが追い、18年に公開された。ドキュメンタリー映画としては異例の、観客が20万人を超えるヒットとなり、大きな共感を呼んだ。

  • (C)2022「ぼけますから、よろしくお願いします。 おかえり お母さん」製作委員会
    (C)2022「ぼけますから、よろしくお願いします。 おかえり お母さん」製作委員会
  • (C)2022「ぼけますから、よろしくお願いします。 おかえり お母さん」製作委員会

「めざまし8」が監督インタビューを交え紹介

   「お互いにがんばりましょうね」。台所のテーブルに向き合って、コーヒーを飲みながら、夫が話しかける。妻が応える。「どっちがおらんようになってもね、欠けてもね、さみしいけんね」。続編では、夫婦のその後を描いた。認知症に加え脳梗塞を発症した妻を、夫が看取る。「お母さん。文子さん」。病院のベッドで、人工呼吸器につながれた妻に夫が呼びかける。「わしものう、今年の11月に100歳になるけんど、(市が)何かくれるんじゃろう、思うよ。もろうたら真っ先に持ってくるけんの。待っとれよ」。頭をなでながら、「元気を出しての、ごちそうでも食うかい。わしゃハンバーグが食いたいんじゃ。あんたも一緒に食おうで。ありがとね。わしもええ女房もろたと、思うちょります」。

   信友監督はこれまで全国で、50回にわたる舞台挨拶をしている。公開から3カ月、全国を回り続けるのは、上映後のサイン会などで、映画を見た人と話ができるからだ。「(母が認知症になり)本人が認めないので、つらくあたったりしていたんですけれど、今日映画を拝見して、これから後悔ないように」と涙を流す女性もいた。信友監督は、「これから先、そうなったらどうしようっていう不安がある人もいるし、今現在、そういう病気に向き合われていたり、介護と向き合われていたりして。私の話で楽になってもらいたい、という気はして、回っていますね」

   信友監督は、「父のことはまだ撮ってますよ。いま101歳ですけれど、すごく元気なんです。やはりこれから父がどうなっていくのか、私がそれについてどう対応するのか、どなたにも当てはまることだと思うので、撮り続けていきたい」。「立たねば何事も進まん。進まんど」。父はスーパーの買い物袋をぶら下げて立ち上がった。

(栄)

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