岩田絵里奈アナが「回転ずしチェーン最大手のスシローの広告で、『新物濃厚ウニ』や『冬の味覚豪華カニづくし』などがお得に食べられると繰り返し宣伝していましたが、実際には全国の9割以上の店で販売していない日があり、これがおとり広告に当たると指摘されています」と紹介したニュース。
「初日に行ったのに売り切れ」の声も
6月9日に公正取引委員会が会見し、「キャンペーンの表示が一般消費者を誤認させる恐れがあったということで、おとり広告に該当する」と措置命令を出した。『新物濃厚ウニ』では594店舗中583店舗で、『鮨し人流3種盛り』では594店舗中540店舗で、『豪華カニづくし』では605店舗中583店舗で販売していない日があったという。
ニュースを聞いた街の人々やSNSでは「CMを見て行ったら、なくてガッカリした」「昼間ならあると思っていったのになかったことがある」「キャンペーン初日に行ったのに売り切れ」などの指摘もあった。
消費者問題に詳しい岡井裕夢弁護士は「ある商品を広告で販売していると言っているにもかかわらず、消費者が実際に行くとその商品がなかったというケース。こういったものがおとり広告に当たります」と話す。
スシローは6月9日にホームページで、この措置命令に対するお詫びとお知らせと題し、「販売予想数量以上の在庫を用意したが、予想をはるかに上回るご愛顧をいただき、早期に完売する店舗が発生してしまいました」などと説明した。
「スシロー」を展開する「あきんどスシロー」は1984年創業で、全国に626店舗を展開し、10年連続で回転ずし売上1位。コロナ禍で外食産業が苦しい中でも、テイクアウト専門店を出店するなど好調な売り上げを維持。ドバイ万博にも出店し、17万人もの来場を得た。昨年には台湾で「『鮭魚』と同じ名前の人は5人まで無料」などのキャンペーンを行い、改名する人が続出したこともあった。
橋本五郎「背後にあるのは企業倫理」
このようにスシローがトップを走り続けた理由について、多摩大学大学院の河野龍太教授は「巧みな広告戦略・ブランド戦略で非常に集客力が高い。他社がタレントを起用したCMを作っているのに対し、スシローのCMは寿司が主役になっている」と説明したうえで、「背景には激しい競争があり、集客をして売り上げを高めることに苦心しているため」キャンペーンをやめられないのではないかと推測した。
タレントの大沢あかねは「店に対する信頼度が高かっただけにすごく残念」としたうえで「在庫がないことに対応しなかった現場の従業員の人たちの負担を考えると、上の人はもっと考えてやったほうが良かったんじゃないか」と指摘した。
司会の加藤浩次は「そうだよね。入荷していないと告知すべきだった。そのほうがクリーンに見えて、みんなもちゃんとした企業だと思って行きたくなるんだけどね」とコメント。
読売新聞特別編集員の橋本五郎は「背後にあるのは企業倫理。誠実ではないですよ。売り切れ御免がウリになっていると、朝からないのが逆にウリとなり、おかしなことになってくる。クレームまで人気の証となって、いけないことがプラスに働いてしまう危険性があった。企業体質を総ざらいしてほしい」と指摘した。
岡井弁護士によると、措置命令には罰則がなく、再発防止策などを消費者庁に報告するなどに従わなかった場合には、2年以下の懲役、300万円以下の罰金の可能性もあるという。
加藤は「みんながわかるようにCMなどで告知することが大事だなと思います。でも、これ、『御免なさいキャンペーン』みたいなこと、ドーンとやるのかな。ありそうな感じはするけどね」とコメントした。
(バルバス)