<1年前のワイドショー> 昨(2021)年の今ごろは、7月後半からの東京五輪の開催是非に関心が集まっていました。コロナ感染状況は厳しいままで、政府は5月末、東京や大阪などで出されていた緊急事態宣言を6月20日まで延長することを決定。一部の県でのまん延防止措置も延長されました。
東京五輪に関して、6月に入ってからのメディアの世論調査結果をいくつか確認すると(いずれもウェブ版)、読売新聞「『開催』50%、『中止』48%」(6月6日公表)、時事通信「『中止』40.7%、『開催』30.4%、『再延期』22.2%」(6月18日公表)、朝日新聞「『今夏に開催』34%、『中止』32%、『再延期』30%」(6月21日公表)などとなっていました。「国民が自粛中に何故やるの」と思っていた人が多くいたことが伺えます。
「この状況でオリンピックは何のためにやるのか」
こうした状況のなか、コロナ対策分科会の尾身茂会長が6月2日、国会で「この状況でオリンピックは何のためにやるのか、パンデミックでやるのは普通でない」と専門家の立場から発言。一方、政府は「自主的な研究成果の発表」(田村憲久・厚労大臣=当時)、「別の地平から見てきた言葉」(丸川珠代・五輪担当大臣=当時)と、聞く耳を持たない態度に終始しました。
(J-CAST)ワイドショー通信簿の「丸川大臣は『おとぎの国の地平』の話を? 玉川徹、『尾身氏見解』めぐる『地平』発言に皮肉」(21年6月7日、テレビ朝日系「モーニングショー」)は、自民党内から「(尾身会長は)言葉が過ぎる」「腹立たしい。何か勘違いしているんじゃないか」といった声が出ている、とも伝えています。
政治ジャーナリストの田崎史郎氏もさすがに「お二人の発言はよくない。(略)尾身さんのご意見をふまえて『安全安心な大会を目指します』と言えばいい。しっかり受け止めたほうがいい」とコメントしたとあります。
「『五輪は尾身会長の所管ではない』論への違和感 加藤浩次『含めて決めたいと言えばいいのに』」(同6月7日、日テレ系「スッキリ」)も、「慎重論」の尾身会長と政府との「溝」が深くなっている問題を取り上げています。
MCの加藤浩次さんは「ちゃんと(分科会の)意見を聞いて、日本の感染症の専門家の意見をすべて集めるくらいのつもりでやらないと。世の中の皆さん、国民のみなさん、こうやったら五輪ができるんです。と言う形が一番いいと思う」としていました。
この後、政府や東京都、組織委員会は、無観客や観客制限、アスリートを外部から分離して管理する「バブル方式」などの対策を掲げ、開催にこぎつけることになります。
(コムギ)