山口県阿武町が誤って新型コロナ臨時特別給付金4630万円を町内に住む男性(24)に振り込んだ問題で、警察がこの男性から任意で事情を聴いていたことが16日(2022年5月)わかった。17日の「THE TIME,」が特集した。
男性の弁護士が16日、会見で明らかにした。弁護士によると男性は先月と今月の2度、警察に事情を聴かれ、求めに応じてスマートフォンを提出したという。
「THE TIME,」で若狭勝弁護士が罪に問われる可能性を解説
給付金は1世帯あたり10万円を給付するものだが、町が手続きを誤り、男性の個人口座に全世帯分4630万円を振り込んでしまった。男性は返還を拒んでいて、町は5100万円余りの返還を求める訴えを起こしている。この男性は一昨年に阿武町に移住してきた。今回、4月8日に給付金が誤って振り込まれた後、その金をスマホを使って別の金融機関に送金。同21日には、「逃げることはしない。罪は償う」と話した、とされるが、その後連絡が取れない状態となり、先週木曜日(5月12日)に町は返還を求め、男性を提訴した。
男性の弁護士は、「警察の要請を受けて、任意の事情聴取に応じております。連絡が取れず、所在不明になった事実は一切ございません」と強調した。「本人使用のスマートフォンの任意提出を求められたため提出し、当該スマートフォンは現在まで返還されていません」「おそらくこれによって連絡が通じなくなったことをもって、町の方は連絡が通じなくなったと誤解されたのではないかと思います」。
男性(24)が、4630万円の返還を拒否している理由については、「本人は現在、そのお金を所持していません。現実的な問題として、返還が難しい状態となっております」。「お金を使ってしまった?」との質問に対して、弁護士は「おおむねその理解で正しいと思います」。「何か物を買ったのなら弁済も可能だと思うが」との質問には、「何か残っているものがあれば返すように言おうと思っているが、今のところ残ってないと聞いている」。男性の最近の状態については、「こういう状態ですので、本人はだいぶこたえていると思いますが、1回会っただけですので、その程度しかわからないです」
花田憲彦町長は、「先ほど(会見を)聞いて驚いている。中身をしっかりと見た中で、お答えすべきものはお答えしたい」。
若狭勝弁護士は、刑事事件になる可能性として、スマホで金を移動させている点について「電子計算機使用詐欺」の可能性があり、その罪に問うには、町が「刑事告訴」をする必要がある、としている。
(栄)