3日間の休養明けから復帰した司会の羽鳥慎一が悲痛な表情で、「お笑いトリオ『ダチョウ倶楽部』の上島竜兵さんが亡くなりました。ビートたけしさんやダウンタウンの松本人志さんらが追悼の言葉を寄せるなど、悲しみの声が広がっています」と、12日(2022年5月)の番組で告げた。
恩師との電話の会話
捜査関係者によると、上島さんは5月10日深夜に都内の自宅から救急搬送され、11日午前1時ごろ亡くなったという。訃報が流れると、2016年にダチョウ倶楽部の3人が出演したケツメイシのミュージックビデオが公開されているユーチューブのコメント欄には多くの人から悲しみや感謝のコメントが寄せられた。
「聞いてないよ」「熱湯風呂」「おでん芸」「クルリンパ」など数々の持ちネタがあり、多くのファンに愛された上島さんは、プライベートでは若手芸人と飲み会「竜兵会」を結成し、彼らと酒を楽しみ、芸人からも慕われていた。メンバーは有吉弘行、土田晃之、劇団ひとりなど、人気者に成長した芸人も多い。
竜兵会の会場となった東京・中野区の韓国居酒屋「オジャンドン」の店員は、上島は「いつも芋焼酎をロックで飲んでいた」と語り、ボトルに「竜兵会」のラベルが貼ってある酒瓶を見せ、「若手芸人たちにも(上島さんは)嬉しそうにイジられていた」と話した。自宅近くにも上島さんが通った居酒屋があり、店主は「酔っぱらってもファンにありがとうと言うし、クルリンパなどの芸を出し惜しみなしで披露していた」と話した。上島さんはコロナ禍になってからは来店していないそうで、「志村けんさんが亡くなったニュースのあと4カ月くらいしてから携帯に電話が掛かってきて『行けなくてごめんね。コロナが落ち着いたら行くから』と言ってくれた」と話した。
コロナ禍の真っ最中の2020年10月、上島さんは高校時代の恩師にも電話を掛けていた。恩師は「夜の12時ごろ見慣れない番号の着信があり、出ると小さい声で何か話している。私が『上島君か?』と聞くと、『ハイ』と答えていた。(略)あの時、もっと耳をダンボにして、どうしたのかと聞いてあげられなかったことを後悔している」と話した。
スポーツニッポンの記事によると、4月中旬に番組の収録があった際、番組スタッフは「上島さんは元気がなかった。心配していた」と話しているという。
羽鳥慎一「まずは相談してください」
社会活動家の石山アンジュは「VTRで映像を見ると、テレビで活躍されて順風満帆だったように見えるが、本人しかわからない苦しい日々があったのだと思う」とコメント。
スタジオゲストの精神科医、赤坂クリニック院長の坂元薫氏は「中高年は疲労がたまりやすく、無理がきかない。脳も肉体で、年を取ると疲労が回復しづらくなる。今の日本社会は昔ほどおおらかではなく、弱音が履きにくくなっているうえ、コロナ禍で人のつながりが希薄になっていることも一因」と話す。アメリカの研究では、オンラインでのつながりでは孤独が軽減されないという結果も出ている。
坂元医師は「そのため、どの国でもうつ病は2~3倍に増えている」と話す。
石山は「コロナ禍での社会不安もあり、みんな自分のことで精いっぱい。周りに気を配れないということもあるかもしれない」と指摘。
テレビ朝日の玉川徹は、症状があればすぐに医者に行くべきだとして「僕は若い頃からうつは誰でもなる病気で、不眠とセットになって表れやすいとわかっていた。だから、僕は不眠になると病院に行って、眠りやすい薬を処方してもらっていた。それくらいの感覚で病院に行くのがいい」と話した。
最後に、相談窓口が案内され、羽鳥は「まずは相談してください」と訴えた。
(バルバス)
◆厚労省サイトで紹介している、悩みをかかえる人の相談窓口(抜粋)
・いのちの電話 0570・783・556(10時~22時)、0120・783・556(16時~21時、毎月10日は8時~翌朝8時)
・よりそいホットライン 0120・279・338(24時間対応)=岩手、宮城、福島各県からは0120・279・226