「ロシアできのう(5月9日)、第2次世界大戦の対ドイツ戦の勝利を祝う戦勝記念日のパレードが行われました。プーチン大統領はその演説で『唯一の正しい判断』とウクライナ侵攻を正当化しました。さらに、第2次世界大戦の戦没者などの写真を手に歩く市民パレード『不滅の連隊』にも参加しました」と板倉朋希アナ。10日の「モーニングショー」は世界中が注目したプーチン大統領の演説を取り上げた。
およそ11分間行われた演説だったが、現地で取材をしたテレビ朝日の前田洋平記者は「客席は静まり返り、拍手もまばらで熱気は感じられなかった」とリポートしている。
「戦争宣言」は行わず
パレードを過去5回現地で取材したという朝日新聞論説委員の駒木明義氏はこう指摘する。
「今回感じたのは、プーチン大統領の示す物語が非常に小さくなってしまったということ。最後、『ロシアのために』と言ってから万歳だったが、普段であれば『勝利の日、おめでとう』といって万歳。つまり、第2次世界大戦で連合国が力を合わせてナチスドイツを倒したその偉業を称え、犠牲者を追悼し、和解と平和を祈るという大きな物語を提示するはずの日なのに、『ロシアのために』と。しかも今戦っている軍事作戦のためのイベントにしてしまった。それで、第2次世界大戦に参加した退役軍人の方、その家族、子孫は置いてけぼりにされてしまったような感じを受けたのでは」
プーチン大統領は演説で戦争宣言をしなかったが、これについて駒木氏は「影響が大きすぎるので慎重になった。苦戦を強いられていることがはっきりしてしまうので、国民の反発を恐れたのでは」と推測。
また、軍事ジャーナリストの黒井文太郎氏は「戦争宣言や勝利宣言をする可能性は低いと思っていたが、1つ意外だったのは、マリウポリの成果などを誇るような文言が入ると予想していたが、それがなかったこと。自画自賛が少なく、現状に即したような演説に終わったというのはちょっと意外でした」と話した。
玉川徹(テレビ朝日)「この戦争について侵攻を始めた直後はロシアが独立を承認した共和国への集団的自衛権の行使という理屈だったが、今回は『自国の脅威があったから』と。じゃあ自国の脅威があったら侵攻していいのかと言ったら、それは国際的には侵略。ロシアは攻撃を受けていないですから。イラク戦争の時のアメリカのように、軍事的に強い大国はそういう風な論理を取りがちだと僕は思っている」
(ピノコ)