プーチン演説の「弱気」 中村逸郎教授「最大の挫折の日では」

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   ロシアのプーチン大統領は9日(2022年5月)の「戦勝記念日」の演説で、「戦争宣言」などに言及せず、軍事パレードでは、核兵器を使う脅しとも見られた「終末の日の飛行機」のデモ飛行もなかった。その意味を、10日の「THE TIME,」が分析した。

  • プーチン大統領(ロシア大統領府サイトより)
    プーチン大統領(ロシア大統領府サイトより)
  • プーチン大統領(ロシア大統領府サイトより)

「終末の日の飛行機」も「天候上の理由」で飛行せず

   プーチン大統領は9日の演説の中で、「ウクライナ政府は核兵器取得の可能性について、発表していた。NATO諸国から、最新の兵器が定期的に供給される様子を目の当たりにしていた。脅威は日に日に増していた。ロシアは侵略に対して、先制的な攻撃をした。それはやむを得ない唯一の正しい決断だった」。軍事侵攻の正当性を主張したが、「戦争宣言」には触れず、具体的戦果にも言及しなかった。筑波大の中村逸郎・名誉教授(筑波学院大教授)は、「プーチン大統領にとって、戦争宣言をするということは、NATOと直接的な武力衝突を覚悟しなければならない状況にある。それをどうしても避けなければならない。それほどロシア兵に犠牲者がたくさん出ており、国内的にもプーチン離れが進んでいる」。

   プーチン大統領はさらに、「ロシアのために正義の戦いで、勇者の死を遂げた戦友に頭を下げます。黙とうをささげます」とも述べた。中村氏は、この犠牲者への言及があったことに、「弱気な姿勢」が見えるという。「今回の特別軍事作戦は失敗であると事実上認めてしまった。犠牲者が非常に多いということに言及したのは、初めてのことではないか。ロシア国内で反戦機運がとても高まっている。国民の声を無視することができなかった」。

   リハーサルでは登場した、核弾頭が搭載できる「ツボレフ160」などの爆撃機や核戦争の際に大統領が乗り込む「終末の日の飛行機」と呼ばれる「イリューシン80」は、「天候上の理由」で、飛行しなかった。中村氏は、「最高指導者について22年が経過したが、きょう(9日)はおそらく、最大の挫折の日では」とした。さらに、今後のシナリオとして、「2カ月以内にロシア撤退の可能性があるかも」とも語った。その理由として、(1)軍事作戦の長期化に国民からの反発が高まる、(2)弱気なプーチン氏を見て、ウクライナ軍の士気が高まる、ことをあげた。

   一方で、ウクライナのゼレンスキー大統領は、「ナチズムに対する勝利の日に、私たちは新たな勝利のために戦っている。道は険しいが、私たちが勝つことに疑いはない」と述べ、改めてロシアに徹底抗戦する姿勢を強調した。

   G7首脳はオンライン会議で、ロシア産石油の「原則禁輸」で一致したが、岸田首相は9日、輸入削減・停止の具体的時期について、「今後実態を踏まえ、検討していく」と明言しなかった。

(栄)

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