ネタバレ視聴も歓迎 「Z世代」新行動様式と意識(モーニングショー)

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   司会の羽鳥慎一が「幼いころからスマホが身近にある10~20代前半の『Z世代』と呼ばれる世代をターゲットにしている店が増えています」と紹介し、Z世代の特徴を「映画やドラマも早送りで見る『倍速視聴』、そしてドラマの結末を知ってから見る『ネタバレ視聴』など独自の価値観を持っています。将来は消費を支える主役となる、この世代を見ていきます」と話して、5日(2022年5月)のコーナーをスタートさせた。

   日本の総人口の約14%を占めるとされるZ世代はSNSを通じて多くの人と常につながっているのが当たり前の『SNSネイティブ』でもある。彼らが持っている驚きの価値観とはどんなものなのか。「映画を早送りで観る人たち」という著書もあるライターの稲田豊史氏が大学生128人に行った調査では、3分の2が倍速視聴を行っているという。稲田氏は「彼らが倍速視聴をするのは時短のため。1秒でも無駄を排したい気持ちがあるから」と説明する。

  • 動画は倍速で…(写真はイメージ)
    動画は倍速で…(写真はイメージ)
  • 動画は倍速で…(写真はイメージ)

玉川徹「加速度的に生活が変わっていく覚悟を」

   またネタバレ視聴については「たくさん見るので1つずつ感情を持つと疲れるという感覚がある。あらかじめ先を知っておけば感情を節約できるし、ドラマの中の伏線も初見で分かるというメリットもある。彼らは未体験より追体験を求めていて、たとえばあらかじめ泣けるドラマと保証されていれば、コスパがよく快適と思う傾向がある」と解説した。

   社会活動家の石山アンジュは「ユーチューブ動画を作るなど作り手でもある彼らがネタバレ視聴をするのは、作り手側として見ているからではないか」とコメント。テレビ朝日の玉川徹も「テレビの人間として作り手として映像を編集するときは僕も倍速で見る。視聴ではなく仕事だから。彼らが倍速で見るのは情報に追われているからではないか」と指摘。

   「SHIBUYA109lab.」所長の長田麻衣さんは「Z世代は楽しみ方が多様化している。作品を楽しむ人もいれば、制作の裏側を知りたい人もいる」とコメント。稲田氏は「倍速視聴を否定するのは若い人からは『作り手のエゴ』と言われ、どう見ようがこちらの勝手で、楽しみ方は人それぞれだ、という意見も多かった」と明かした。

   Z世代はスポーツ観戦でも「結果が分かればいいし、良いシーンだけ見たいのでハイライトだけ見る」という。音楽を聴く場合でも、サビだけ聴いて聞く聞かないを判断する人が増えているそうだ。そのためか、最近のヒット曲はイントロなしで、いきなりサビから入る曲が増えてきていると指摘した。

   Z世代が倍速視聴をする理由は、安価で多くの作品や映像を見ることができる「供給過多」であること、またSNSの普及によりいつでも連絡ができ反応が求められている「共感強制力」が考えられる。

   稲田氏によると、デジタル情報はこの10年で50倍に増えており、『タイパ(タイムパフォーマンス)』が重視されているという。この背景には2000年代からの時短や効率を重視する空気が影響しているのではないかと稲田氏は指摘する。

   またかつての大学生と比べて今の大学生は仕送りも少なくなっているため、スキーや旅行ではなくサブスクで見られる動画視聴が趣味となっている傾向も。ある18歳女子大生は、起床から睡眠までの時間のほとんどで動画を視聴していた。長田さんは「作り手側の彼らに合わせるようになってきており、集中しなくても消化できるコンテンツを作っている」と言う。

   お金の使い方も変わってきた。毎月200人のZ世代にヒアリングしているという長田さんは「昔はこのブランドのこの服を着たいからと買い物していたが、今は体験ベースに代わっている。たとえばヌン活(アフタヌーンティを楽しむ活動)のために大人っぽいコーデを買いに来たとか、推しのライブがあるので参戦服を買いに来たとか、その体験に必要なものを逆算して消費している」と指摘する。そんな彼らが求める体験とは、「おしゃピク・海ピク」や「ホテル女子会・ホカンス」だという。海ピクとは海にピクニックに行くことで、ホカンスはホテルでの少人数のバカンスで、それを写真に撮ってSNS映えを狙うという。

   玉川が「インスタのために消費するというのは我々とは逆の行動。承認欲求を満たすという意味では同じだけど」とコメントすると、長田さんは「体験を投稿するとコミュニケーションが生まれて承認欲求が満たされる」とそれを認めた。稲田氏も「みんなが知っている話題の映画について話すほうがコミュニケーションのコスパ、つまり『コミュコス』がいい。マイナーな映画を見ても盛り上がらないわけです」と話した。

   今では、そんなZ世代向けの店もオープンしている。5月3日はお台場に映えるお菓子や化粧品を品揃えする「キラキラドンキ」が、渋谷区には「世界一映える」寿司屋「くら寿司」がオープンしている。

   玉川は「歴史的に見れば、技術が進歩すると生活も変わる。新しい技術が加速している今は、加速度的に生活が変わっていく覚悟をしたほうがいい」とコメントした。

(バルバス)

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