NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」5月1日(2022年)の放送。源義経(菅田将暉)が京都で大活躍中の一方、木曽義仲(青木崇高)の討伐によって鎌倉に再び暗雲が立ち込める。(ネタバレあり)
父殺害の恨みを自らに向けるであろうと義仲の嫡男・義高(市川染五郎)を危険視する源頼朝(大泉洋)は、義時(小栗旬)に義高の処断を命令する。大姫(落井実結子)を思う政子(小池栄子)は憤り、義高を救うため奔走する。
ホッとする間もなく...
政子のアイデアで、義高に女装までさせて伊豆にかくまうまではうまくいったように見えた。ひとり寺に残されている義高はすでに殺される身であることがわかってしまう。まだ幼い大姫が自らの喉元に短刀を突きつけ、父・頼朝へ義高の許しを嘆願する姿に強い覚悟が見えた。こんなことさせる頼朝は、つくづく鬼だと思うが、さすがに義高処断の命令を解くことになった。
ホッとする間もなく義高がひとり逃亡する場面。身ひとつで逃げ切れると思わないでほしかった。しかし殺される恐怖よりも自分だけを信じたかったのだろう。そして御家人のひとり藤内光澄(長尾卓磨)が森の中で身を隠す義高を見つけた。ああ、見つかっちゃったと目を覆いたくなったそのとき、義高が刀を抜こうとすると、なんと大姫との思い出の鞠の紐が引っかかって刀が抜けないではないか。あまりに悲しい運命である。大姫との楽しい思い出にすがっていたのだろうね。
この場面、ほんの一瞬だったが、義高の大姫を想うピュアな気持ちがジーンと伝わって悲しすぎた。「わかっていたこととはいえ、ツラい」「何たる鬼脚本」「残酷すぎる現実と命運」などネット上でも反響が。義時が最悪な事態を回避する為に暗躍した作戦ではあったが、結局は最悪な結果に繋がってしまった。あまりに皮肉で無念でならない。
ドラマが始まったころ、伊豆でほのぼのと暮らしていた北条家の長閑さは微塵もなくなってしまった。しかしもう戻ることはできない。義時の心も鬼と化していくのかと思うとやりきれない。これからも悲惨な物語が続く予感がして仕方がないが、心救われる場面が少しでもあるといい。
(Y・U)