ウクライナのゼレンスキー大統領は「マリウポリのアゾフスタリ製鉄所に残された民間人のうち約100人が退避した」と明らかにした。2日(2022年5月)の「THE TIME,」が伝えた。
国連の支援を受けて、バスなどで移動した。ロイター通信などは、ドネツク州の近郊の町に国連の車両やロシア軍の車両とともに、民間人を乗せた車両が到着する様子を伝えた。2日にウクライナ軍が統制する南東部のザポリージャに到着予定だ。
ロシアの対国連姿勢は?
製鉄所内には約1000人の民間人がいたとされる。「製鉄所の内部」とされる映像には、鼻にビニールの管を入れられた負傷兵や、左足を包帯でぐるぐる巻きにした兵士など複数の負傷者が映し出されており、ウクライナのアゾフ連隊の副司令官は4月30日、「治療の必要な負傷者がいるが、避難の対象になっていない」。
28日にキーウ市に、国連のグテーレス事務総長が訪れ、ゼレンスキー大統領と会見した直後に、ロシア軍によるミサイル攻撃があり、ロシアがどこまで国連の存在を重視(軽視?)するのか、疑念が広がった。しかし、今回は、「UN(国連)」と表示した車が先導をして、マリウポリの避難者が動き始めた。負傷兵を含めた民間人避難に対するロシア軍の姿勢がどこまで続くか、注目だ。
4月28日に攻撃を受けたウクライナの首都・キーウ市長は「キーウは依然として標的だ」「市の周辺に爆発物が残っている。(避難した住民は)まだ戻らないでほしい」。ロシア国防省は5月1日「欧米から供与の武器・弾薬が保管されていた、とする南部のオデーサ近郊の空港の格納庫などをミサイル攻撃した」と発表。
ゼレンスキー大統領は1日、「東部にいるウクライナ軍に対する新たな攻撃に向け、占領者は追加の軍隊を集めている」「ロシア軍がハルキウ州に増援部隊を送り、ドンバス地方への圧力を強めようとしている」として警戒感を強めている。
こうしたなか、米国の女優アンジェリーナ・ジョリーさん(46)が、ウクライナの西部、リビウを訪れ、避難者と面会した。同州知事によると、東部ドネツク州の駅で160人以上が死傷したミサイル攻撃で負傷した子どもたちが入院する病院も訪問した。「今はとても複雑な状況ですが、誰かが心配して、耳を傾けてくれる場所があることが、とても重要だと思います」。避難者が集まる駅を訪れた際に、空襲警報のサイレンが鳴る場面もあった。
(栄)