ウクライナ南東部で攻勢を強めるロシア軍だが、理由の一つに戦勝記念日の5月9日に勝利宣言を行うことがあるといわれている。プーチンが戦勝記念日にこだわる理由は何か。今日4月26日(2022年)の「めざまし8」では新コーナー「わかるまで解説」で、プーチンがこだわる理由と、戦勝記念日以降の動きについて、今日からゲストコメンテーターとなった筑波学院大学の中村逸郎教授に話を聞いた。
1つ目の理由は、戦勝記念日がロシア最大の祝日であることだという。5月9日は第2次大戦で旧ソ連が約2400万人の死者を出しながらナチスドイツに勝利した日。「損害を被ったがソ連はナチスドイツを打倒した。自分たちは特別な地位が与えられるべきだと考えている」(中村逸郎教授)
プーチン大統領の作り上げた祝日
今年は77回目の戦勝記念日で、今回のウクライナ侵攻でロシア軍のシンボルとなっている「Z」のマークは、7と7を組み合わせたものだという。去年の戦勝記念日は一糸乱れぬ兵士の行進と軍用車両のパレード。夜には花火やドローンのショーが行われた。パレード参加者や戦車には旧ソ連の勲章を模した「ゲオルギーリボン」が飾られている。
中村逸郎教授「ゲオルギーリボンは私も持っています。街を歩いているときに渡されたが、黒は火薬、オレンジが火を表していて、腕に巻いたり自動車のミラーにつけたりして街中がこのリボンで埋め尽くされます」
2つ目の理由は、戦勝記念日がプーチン大統領の作り上げた祝日だということ。もともとはソビエト政権が誕生した11月7日が革命記念日として祝われていたが、プーチン大統領は2005年に11月7日を平日とし、5月9日を戦勝記念日とした。「革命を遠ざけながら旧ソ連の栄光で統一したいという思いがあるのではないか」(中村逸郎教授)
このほか、プーチンは大統領就任時に国歌を旧ソ連のメロディに変更。さらにテレビが国歌を1日2回流すことも義務付けた。
三浦瑠麗(国際政治学者)「ソ連は共産主義の国だが、ソ連をロシア帝国の一つの時代として位置付けようとしているのではないか」
3つ目の理由は勝利宣言をすることで不満を抑えること。現在、ロシアでは戦死や脱走、兵役拒否などが約4万人。なんらかの勝利宣言をしないと支持層から不満が爆発するのではないかとみられている。
では、5月9日に勝利宣言することで停戦は実現するのか。専門家によると「ウクライナ東部2州を制圧するまでは続く。特別軍事作戦から戦争になるのでは」(小泉悠東京大学専任講師)、「5月9日に宣戦布告し、旧ソ連構成国とも手を組み激化する可能性もある」(中村逸郎教授)と、攻撃の激化も考えられるという。
中村逸郎「最後はアメリカとロシアですね。この2つの国がどう話し合うのか。このままだと2年、3年ずるずるといってしまう危険性もある」
(みっちゃん)