「行くんじゃないよ」忠告聞かなかった船長、「THE TIME,」が伝えた2つの事故背景

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   知床半島沖で26人の乗客乗員を乗せて行方不明になった遊覧船の船長は23日(2022年4月)朝の出港前、同業者に「行くんじゃない」と声をかけられながら、直後に港を出たことがわかった。同業者や船長をよく知る漁師の証言を25日の「THE TIME,」が伝えた。

   国交省北海道運輸局は24日夕、観光船を運航する「知床遊覧船」に特別監査に入った。行方不明の「KAZUⅠ」の豊田徳幸船長(54)は、昨年も同じ船で座礁事故を起こしていた。豊田船長はまだ消息不明だが、業務上過失往来危険の疑いを視野に捜査を始めた。

  • 知床観光船「KAZUI(カズワン)」知床遊覧船のウェブサイトから
    知床観光船「KAZUI(カズワン)」知床遊覧船のウェブサイトから
  • 知床観光船「KAZUI(カズワン)」知床遊覧船のウェブサイトから

「(船長は)気さくでいい人。面白かったし」

   知床遊覧船の同業者は24日、「(船長に)行くんじゃないよ。ダメだよ、と言いました」と証言した。「(23日の)たぶん9時半ぐらいだったかな。(船長は)ハイって言ってたけど、そのまま(午前10時ころに出港した)」「出なかったらこんな事故、起きてるわけない」。船長を知る漁師は、「すごく気さくでいい人だった。面白かったし」「(シーズン1発目の出航で)まだちょっと慣れていないところもあったかも」。当日の風況については、「10時くらいまでは全然よかったんだけれど、帰ってくる時間は結構ひどくなる予報だったから。みるみるうちに波もでかくなってきた。波は2.5から3メートルぐらいはあったから」。午前中から強風と波浪の注意報が出ており、多くの漁船が早めに引き上げていた。

   午後1時15分ころに「船首部分が浸水し、沈みかかっている」とカシュニの滝付近を航行中とする乗組員から、海上保安庁に救助要請があった。同2時ころ、会社に「船が30度傾いている」と連絡があったのを最後に消息が途絶えた。

   番組は、同業者から取材した「2つの事故背景」を伝えた。船には15センチほどの大きな「傷」があり、そこから浸水したのではないか。昨年の座礁事故との因果関係はなお不明だ。もうひとつは、周囲に助ける船がいなかったこと。今回のように沖でトラブルがあれば、周りにいる船が助け合うのが普通だが、今回は「強行出港」だったため、他の漁船などはいち早く避難していた。

   乗客24人は、10歳未満の子ども2人を含め70代まで、9都道府県から観光に来ていた。なお、25日午前10時の段階で、これまで10人(男7人女3人)の死亡が確認されている。24日夜に、知床岬の東約15㌔の海上で子どもを発見したが、意識不明の状態という。

   海上保安庁は遊覧船が沈没した可能性があるとみて、海中ソナーによる音波を使った海底の捜索を始めた。

(栄)

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