NHK朝ドラ「ちむどんどん」4月21日(2022年)の放送回。母・優子(仲間由紀恵)ひとりで支える比嘉家の経済は細く貧しい。暢子(稲垣来泉)たちが心配するなか、優子の体は疲労がたまってついに倒れてしまった。そこへ遠い親戚から一通の手紙。東京で子供をひとり預かることができるという申し出だった。後段で暢子がみせた表情やその演技にも注目が集まった。
「東京行き」をめぐり...
子どもたちは、我こそ東京へ行くと言い出す。憧れの東京だし、毎日の生活の手伝いからも解放される。ひもじい思いもしなくていいかもしれない、美味しいもの、楽しいこと、たくさんの友達、新しいものに囲まれ夢のような生活がまっていると想像するものだ。
しかし、事は現実的になってくると不安ばかりが大きくなってくる。見たことも聞いたこともない、東京。まして家族と離れていくとなれば、諸手を挙げて飛び込めないもの。転校するのさえナーバスな思いをするし、親も兄弟もいないならなおさらだ。
和彦(田中奏生)の父・青柳史彦(戸次重幸)の「人生は幸せになれる道のり、思い出は正しい道へ導く、今日より明日はよい日になる」という言葉が、暢子の心にじーんと響いて沁みていく。
そしていよいよ賢吉さん(石丸謙二郎)が「誰かひとりに決めろ」と。暢子が行くことになるのはわかってはいるけど、決まる瞬間にドキドキ。それに挿入歌『椰子の実』がずっと流れていてなんだか涙を誘う。「豚の世話があるし......」「委員長やってるし......」と兄と姉。ああ、やっぱり一人で行くのは怖いよね。「子供たち、やっぱりそうよね、本音は離れたくないよね」「いざ、誰が東京に行くか決めなさいと言われると尻込みしちゃうのわかる」「やっぱり沖縄に居て家族と暮らしたいよね」と視聴者もSNSで反応。
「うちが東京に行く」と暢子。子どもながらの決断がしっかりと伝わり感涙。なんて健気なんでしょう。朝ドラの王道、幼い子どもが奉公に出るパターンなんだけど、どうして毎回こうやって泣かされるのだろうか。「暢子ぉ?健気過ぎるよ。最後の表情で泣かされたよー」「あんなに切ない笑顔見たことない」「暢子役の子、凄い演技力!」「涙をこらえての笑顔。本心を隠しての『東京へ行きたい!』に泣く」といった声がツイッターなどに寄せられていた。
家族の本望とはいえない暢子の旅立ち。せめて東京の叔母さんという人が、いい人だといいが。
(U・Y)