プーチン・ロシア大統領は、欧米諸国のロシアに対する経済制裁は「失敗だ」「未曽有の圧力に耐えた」と強気な姿勢を示した。19日(2022年4月)の「THE TIME,」が伝えた。
プーチン氏は18日、「対ロシア政策は失敗だったと、確信をもって言うことができる。経済電撃戦は失敗した」「ルーブルの価値は侵攻前の水準に戻った」と語った。
物価高と失業懸念
一方で、物価は1カ月半で9.4%上昇、年率では17.5%で、20年ぶりの高水準にあるとして、「インフレの波に対応できるようにしなければならない」とも語った。また、モスクワ市長は、外国企業の相次ぐ事業停止により、約20万人が失業する恐れがある、と明らかにした。
プーチン氏は、何をもって「(経済制裁が)失敗した」と強弁するのか、よくわからない。少なくとも、2カ月近くの戦闘でなお決着がつかず、ロシア軍に多くの死傷者を出している点だけでも、「プーチン氏の侵略」は「失敗」だったことは明確だ。
さらに番組は、対ロシアの制裁や石炭禁輸(入)などで、日本国内でも建築資材やマンション価格の高騰を招いていることも伝えた。
建設会社幹部は、「材料の高騰は非常に苦しいところがあります」。鉄筋や配管など、建設部品の材料となる「鋼材」は、ウクライナ情勢の悪化や供給不足の懸念から、価格が跳ね上がっている。日本製鉄は先月、基礎工事で使う「H形鋼」の価格を1トンあたり7000円引き上げた。
コンクリートにも大きな影響が出ている。岸田首相は今月8日、ロシアからの石炭輸入禁止を表明したが、石炭はコンクリートの原料となるセメントを作る際の燃料となる。日本のセメント業界が輸入する石炭の46.5%をロシアが占める。日本政府は、41.5%のオーストラリアなどに輸入先の転換を進めようとしているが、世界の需要が同国に集中。セメントの仕入れ値は昨年比で、1トンあたり2400円値上がりし、今後もさらに上がりそうだ。こうした資材の高騰は、すぐにマンション価格に跳ね返る。
不動産経済研究所によると、2021年度(21年4月~22年3月)の首都圏の新築マンション平均価格は、6360万円。バブル期の6214万円を100万円以上、上回った。同価格はバブル期直後には約4000万円に急落、4年間は4000万円台だったが、近年急上昇した。建築資材価格の高騰と、都心部の地価が上昇したためだ。
(栄)