司会の羽鳥慎一が「ウクライナ侵攻を後押しするプーチン大統領の盟友」と紹介したのがロシア正教会のトップであるキリル総主教。プーチン大統領と同じサンクトペテルブルク出身で、プーチンに引き上げられ2009年に総主教に即位したとの見方もある。
元ウクライナ大使の角茂樹氏は「総主教というのはキリストの弟子の後継者であり、聖なる人と見られる人物ですが、キリル総主教は政治的な力も持っていると言われています。私の知人の聖職者はキリル総主教について『1に政治家、2に外交官、3,4がなくて、5に聖職者』と言っていた。批判する人もたくさんいるのは事実です」と話す。
二人にある共通の価値観とは?
羽鳥は「プーチン大統領とキリル総主教には共通の価値観があり、それが『ルースキーミール』で、ロシア正教会の影響下に置かれていた地域はロシアと一体という価値観です。プーチンはこれを論文として発表していますし、キリル総主教も『ロシアとウクライナは1つの民族』として信仰を支持しています」と説明。
角氏によると、「そもそもキーフ(キエフ)はロシア正教発祥の地で、プーチン大統領もキリル総主教もロシア再建にはウクライナは不可欠と考えている。日本でいえば京都や奈良という感じで、これが失われるのは許されないと考えている」と話す。
ウクライナ正教会はソ連時代にロシア正教会の傘下になったが、2014年のクリミア侵攻で亀裂が入り、2019年に正式にロシア正教会から独立している。今回のウクライナ侵攻に関してもはロシア正教会内部からも非難が出されており、数百人に及ぶ司祭がウクライナ侵攻を糾弾する嘆願書に署名し、1人が逮捕されたという。
角氏は「アイロニーなことですが、1つ申し上げたい」として「ロシア正教徒の多くがウクライナ東部に住んでいます。ロシアの侵攻で殺されている人たちはロシア正教の下にいた信者たちです。キリル総主教が牧者だとすると、羊にあたるのが信者たちで、狼はプーチンです。総主教は羊たちを守らなければならない立場にある。だからほかの正教会の人たちから反対されているわけです。しかし、キリル総主教は西側の悪い影響からウクライナを救うと言う一点張りなんです」と指摘。
羽鳥は「非常に複雑な宗教的問題も背景にはあるということです」とコメント。
東京大学先端科学技術研究センター専任講師の小泉悠は「私は専門ではありませんが、正教会は政教一致で政治と宗教は切り離せないはず」と指摘。
社会活動家の石山アンジュは「宗教は本来、精神のよりどころのはず。文壇をあおる側にいるのはどうかと思います」とコメント。
玉川徹(テレビ朝日)は「キリスト教には『汝、殺すなかれ』とあるのにいつになってもそれが生かされない。宗教は人を救うものなのに逆のことをやるのはどうかと思う」と訴えた。
(バルバス)