12日(2022年4月)の「モーニングショー」は速報として、ウクライナのマリウポリでの情報として、司会の羽鳥慎一が「ロシア軍が化学兵器を使った可能性が出てきています。現地メディアは『サリンが使われた可能性がある』と報じています」と伝えたが、スタジオ陣からは慎重な見方をするコメントが続いた。
軍事ジャーナリストの黒井文太郎氏はこの情報に関し、「これは今朝、マリウポリにいるウクライナ側の部隊のツイッターアカウントで私も知ったのですが、どこまで本当かというのはまだ未確認なんです。軽傷者が3名という情報も出ていて、化学兵器にしてはそんなに強力ではない印象もあります」と指摘した。
「ただ、強い懸念材料であることは間違いない」
ロシアの新たな司令官は、シリア内戦で指揮をとったドボルニコフ将軍。シリアで化学兵器と無差別空爆で数千人の民間人に犠牲を出した人物だ。羽鳥はドボルニコフ将軍の司令官就任との今回の攻撃の関連について質問した。
黒井氏は「直接はまだ分からない」とした上で、「作戦上、人道問題はあまり気にしない人ですが、ここで大きいのは、残酷な人が来たということよりも、ここまでいなかった統一司令官を立てたということ。これまで連携が取れていなかったロシア軍が、本来の軍事作戦に本腰を入れてきたということです」と指摘した。
菊間千乃(弁護士)は、「ここまで民間人を標的に攻撃を仕掛けてきて、しまいには有毒ガスまでということになると、ロシアの今の目的というのは、どの辺りにあるのでしょうか」と質問。それに対し、黒井氏はこう答えた。
「要するに自分たちの威力を示してウクライナ側の士気をくじく。それから後方を錯乱させ、同時に自分たちの正面の軍団も攻めていく。ウクライナ側を弱らせて少しでも自分たちの制圧地域を広げていくという意味合いですね。人道的な観点はロシア軍にはもともとない。少しでも軍事的な成果を上げるために有利だと判断したということ。すでに前歴がありますので、そういうことだと思います」
玉川徹(テレビ朝日)は「お互いに情報戦が行われている中なので、確認するまでは(化学兵器を)使った前提で話を進めるのは危険」とした上で、「ただ、強い懸念材料であることは間違いない」とコメントした。
(ピノコ)