ロシア軍のウクライナ侵攻に対して、ロシア国内でも反戦の声をあげる人はいるが、これまで反戦活動やデモで拘束された人は1万5000人を超え、表立って声をあげることが難しい状況が続いている。こうした中、ロシアでは「静かな反戦活動」が起きているというが、いったいどのような動きなのか。12日(2022年4月)の「めざまし8」はロシア国内の反戦の動きを伝えた。
まず紹介されたのはルーブル硬貨を写した画像。表面をよく見ると「戦争をやめろ」「ロシアの物価は上がってウクライナ人は死んでいる」など手書きの反戦メッセージが書かれている。
大手企業にも動きが
ロシア人YouTuberのあしやさんは「静かなデモという形で戦争反対を訴える人がいます。大勢の人がデモをすることがダメになっている中で工夫している。お金に落書きをして支払い、反戦の思いがいろんな人の手元に届くように硬貨に託す」と語る。
「本来デモというのは周りに知ってもらって政府に気づいてもらう目的だが、この場合は、どちらかというと周りにも戦争反対している人がいる。自分一人ではないという意味も含まれている」(あしやさん)
静かなデモは硬貨のメッセージだけではない。ロシア西部の都市、カザンのスーパーで撮影されたという写真では、コーヒーの値札に書かれた「400」という数字の上には「マリウポリの学校をロシア軍が爆撃し、シェルターにいた400人が被害を受けた」の文字が書かれている。
大学では、ブチャでの虐殺を伝えるサイトにつながるQRコードがつけられたビラが配られたり、トイレの個室ドアの内側にロシアの戦争責任を問う言葉が貼られたりしている他、街中ではコーヒー広告の下に「抑圧」と「エスプレッソ」を足した造語が落書きされている。
軒先にグリーンのリボンを吊るすという「グリーンリボン運動」も起きている。グリーンはウクライナ国旗の青と黄色を混ぜた色で、軒先に吊るす他、外出時にリボンをつけることで、戦争反対の仲間であることをアピールすることができる。
こうした「静かなデモ」だが、市民だけではなくロシアのアルミ生産大手企業の「ルサール」が「ブチャでの犯罪が客観的、公正に調査されることを支持し、兄弟殺しの紛争が早く終わることを望んでいる」と反戦を表明するなどしている。
中村逸郎(筑波学院大学教授)「(グリーンリボン運動だが)色のイメージが強い。これからのロシアはカラー革命と呼ばれている若者反戦運動やプーチン辞任を求める動きに発展する可能性がある。BBCモスクワ支局の世論調査では、18歳から29歳の40%が戦争に反対している。22 年間大統領を続けるプーチンに、若い人たちはうんざりしている」
三浦瑠麗(国際政治学者)「(ルサールが)大企業というところがポイント。ロシアとの取引をしない国が増えてきている中で、グローバル化した企業ほど反対する。しかし、ずっと国内でやっている人がそういう立場になるとは考え難い。中国やインドと取引するかロシア国内に閉じこもる。イランは制裁で孤立しているが続いている」
(みっちゃん)