ウクライナの首都キーウ近郊の街・ブチャなどで多数の民間人の遺体が発見されたことを受けて、米国がロシアへの追加制裁を発表。ロシア最大手の銀行「ズベルバンク」の資産凍結など制裁を強化する。ウクライナ国防省はブチャでの大量虐殺について「虐殺の実行部隊はロシア軍の第64自動車化狙撃旅団」と発表した。
7日(2022年4月)の放送で、パネルを指さしながら司会の羽鳥慎一が軍事ジャーナリストの黒井文太郎氏の解説を紹介し「この狙撃旅団はハバロフスクに拠点がある中規模の戦闘集団で、徴兵された若者が多い」という。
ブチャの住人は「当初は若い兵隊だったが、2週間くらいすると40代の年配の兵士が加わり、その時から虐殺が広がった。彼ら年配の兵士は黒と緑の服を着て装備が良いものだった。若い兵士は『彼らはFSBの人だ』と話していた」と証言したという。
玉川徹「命がものすごく軽い」
FSBはロシアの情報治安機関。スタジオゲストの朝日新聞論説委員、駒木明義氏は「第64自動車化狙撃旅団は攻撃任務が得意で、占領後の統治を担う部隊だと思われる。住民がどういう思想の持主か調べ、敵とみなされた住民を殺していたと思われる」と話した。
この狙撃旅団は4日にウクライナから撤退し、6日までロシアで休んだ後、ウクライナ北東部のハルキウに送られる計画だという。
羽鳥がウクライナ国防相の見方として「この部隊が移送される理由は、将来戦争犯罪人として証言できないように生き残る見込みのない前線に立たせるため」と説明。
しかし駒木氏はその考え方に異論があるとして「都合が悪い事実を知るのは彼らだけではない。ブチャ以外にもキリがないくらいの場所で行われている。ロシアはあえて隠そうとしていないと思う。訓練された部隊なので、早く前線に送り出したいだけだろう。ロシアはシリアやチェチェンでやったように、自分たちはやっていない、すべて西側の陰謀と繰り返すだろう」と指摘。
社会活動家の石山アンジュは「ブチャの虐殺は彼らが撤退したから明らかになった。いまだに制圧されている地域では何が起きているかわからない。ブチャの虐殺は氷山の一角かもしれないと思う」と話す。
テレビ朝日のコメンテーター、玉川徹は「戦場なので人が死ぬのは当たり前というようにFSBは人を殺している。命がものすごく軽い」としたうえで、「シリアやチェチェンでも虐殺はあったと言われているが、今回のように取り扱われなかったのは、人種問題もあるという指摘もヨーロッパのメディアでは言われている」と指摘。
これに駒木氏は「虐殺があったチェチェンやシリアで大きく取り扱われなかったのは、チェチェンはロシアの国内問題だったこと、また当時は米国・ロシア共にイスラム過激派に対する脅威に対抗するという立場が共通していたということもある」と話したうえで、「今回の問題が深刻なのは、占領後に虐殺をしているということ。衝突の際の虐殺ではなく、殺す必要が全くない状況で、悪質度が高く衝撃は大きいと思います。しかもロシア国内には全く伝えられていません」と話した。
(バルバス)