「徹子の部屋」(テレビ朝日系)。この日(4月1日、2022年)は徹子の「私が愛した俳優たち」ということで、徹子が大好きだった丹波哲郎、津川雅彦、緒形拳という今は亡き3人の名優たちの在りし日の映像を見せるものだった。
貴重なアーカイブ映像
それぞれ、若い頃の溌剌とした姿と、年を重ねた晩年の姿を見せてくれるのだが、それゆえ、人はわずか十数年でこんなにも老いてしまうのか、と人の一生について考えさせられた。「少年老い易く学成り難し」とはよく言ったものだ。もちろんこの3人は立派な仕事を成し遂げているわけだが、だからこそ、未だ何者でもなく無駄に人生を送っている自分に焦りを覚えるというか......。
そんな嘆きはともかく、3人それぞれに見どころはあったが、やっぱり群を抜いて面白かったのは丹波哲郎だ。1987年7月9日放送で丹波は当時64歳。丹波は終始、葉巻を吸いながらのトークだった。丹波と徹子は古くからの付き合いで、当時の徹子を「本当に可愛かった。可愛かった可愛かった」と何度も連呼する丹波。一緒に日光に旅行したことがあり、「日光ですでに目をつけていたけど、あんまり子ども子どもしてたんで......。なんとかものにならないかと」と悪びれずに語る。葉巻といい、ものにならないかといい、今のテレビでは完全にアウトな発言の数々。だからこそ惹かれてしまう。
終戦後、外務省臨時嘱託でGHQの通訳をしていたそうだが、「英語なんか喋れませんよ」と丹波。仕事を頼まれるとトイレに逃げて、2年間はGHQで逃亡生活にあけくれた、というが、今となってはどこまでがほんとうのことかわからない。
「徹子の部屋」には貴重なアーカイブ映像がまだまだある。徹子さんの体力温存のためにも、たまにはこういうアーカイブ映像をお披露目するのも悪くないのでは。
(くろうさぎ)